印刷データの入稿前に確認するポイント9選
2021.11.22 2018.12.03印刷・デザインDMのデザインが出来上がったら、いよいよ印刷会社に入稿です。印刷会社には「完全原稿(完全データ)」を渡します。完全原稿とは、その名の通りミスのないパーフェクトなデータのことです。
印刷が始まってから間違いが発覚した場合は、データを修正したり、最悪の場合は刷り直したりする必要がでてくるので、十分に注意しましょう。ミスを未然に防ぐため、入稿前に必ず確認したいポイントをまとめました。
目次
データのサイズは合っているか
印刷データは、基本的には仕上がりサイズと同じものにします。A4サイズのチラシを印刷したいなら、データもA4サイズでつくるということです。
印刷会社によっては、A4サイズのデータをB5サイズに縮小したり、B5サイズのデータをA4サイズに拡大したりすることも可能なようです。ただし、A4サイズをA1サイズにするなど、拡大率が大きすぎる場合は、画像が粗くなって印刷物のクオリティが落ちてしまうこともあるので避けた方がいいでしょう。
また、印刷データの縮小や拡大を印刷会社に依頼すると、追加料金が発生する場合もあるので事前に確認しておくことをおすすめします。
入稿のファイル形式は合っているか
入稿できるファイルは印刷会社によって異なりますが、レイアウトデータはeps、ai、psd、画像ファイルはeps、jpg、jpeg、png、gif、bmp、tif、文書ファイルはtxt、xls、ppt、doc、pdf、xlsx、docx、pptx、jtd、圧縮ファイルはzip、lzh、tar、tgzなどが一般的です。
注意点としてはファイル名に日本語を使わないこと。日本語を使ってしまうとファイルが開けなかったり、画像リンクが切れたりする恐れがあります。また、仕上がり見本としてpdfをつけるとき、pdfはなるべく圧縮しない方がよいようです。
塗り足し部分を考慮したサイズで作成しているか
たとえばA4サイズのチラシを印刷する場合、データをA4サイズぴったりに作成してしまうと、断裁するとき端の方に配置した文字やイラストなどが切れてしまうことがあります。このようなことを防ぐためには、「塗り足し(裁ち落とし)」を付加することが必要です。塗り足しとは仕上がりサイズよりも外にある裁ち落とされる部分のことをいいます。
印刷会社での印刷は、家庭用プリンターとは違って印刷サイズより一回り大きな用紙を使い、最後に正寸に断裁します。その際、一度に何枚も重ねるため、どうしても微妙なズレが生じてしまいます。
トンボが正しく配置できているか
トンボとは仕上がりサイズのそれぞれの角と辺の中央に作成するマークのことで、印刷データのまわりのあるL字やクロスのラインのことです。
トンボの役割は2つあります。
CMYKの4色を重ねるときの基準線になる
印刷物は1枚の大きな紙に4色のインクを重ねていくことで完成します。このとき各色のインクの位置を合わせる目安としてトンボが役立ちます。
仕上がりサイズと中心を明確にする
印刷が終わり断裁する際に、トンボを目安に塗り足し幅の部分を断裁して仕上がりサイズに加工します。
トンボを正しい位置に配置することは、印刷と断裁の両方において重要となってきます。
フォントをアウトライン化しているか
フォントをアウトライン化するとは、入力された文字を書式データではなく図形化することをいいます。
書式データのままだと、データを作成したパソコンとは違う環境で印刷データを開いたときに文字化けしたり、違うフォントに置き換えられたりしてしまいます。そのまま印刷すると、思っていたイメージとかけ離れたものができあがり、顧客からのクレームも考えられます。
アウトライン化しておけば、そのような心配は無用です。アウトライン化するときは、漏れがでないようにレイヤーのロックを解除し、すべてを選択した状態で行うようにしましょう。念のため最後にフォント検索をして、フォント名が何も表示されなければ、すべての文字がアウトライン化されたということです。
画像がリンク切れをしていないか
データに画像を使う場合は、リンク画像か埋め込み画像のどちらかで配置することになります。
リンク画像とは、元データと接続されているデータのことをいいます。このリンク画像を、デザインデータとは別のファイルに入れたり、日本語名でファイル名をつけたりすると、リンク切れになる場合があるので注意が必要です。必ず同じファイルに入れましょう。
ただしリンク画像は、リンク先に画像が置かれているだけなので印刷すると微妙にズレてしまったりする可能性もあります。そのような不具合を避けるため、できれば画像はファイルの中に埋め込み、ファイルの一部にしておく方が安全です。これを画像の埋め込みといいます。
解像度は問題ないか
解像度(dpi)とは、2.54cm幅にいくつドットを表現できるかということを表します。解像度が高いとドットが細かくなり、解像度が低いとドットが粗くなります。
印刷する場合は、フルカラーで300〜350 dpi、グレースケールで600 dpi以上が一般的です。より美しく仕上げたいからといって解像度を上げすぎると、データが重くなりすぎて印刷に余計な時間がかかってしまうのでおすすめできません。元々のデータの解像度が低いものを印刷時にアップさせることはできないため、商品写真などを自分で撮影する場合はカメラの画素数もチェックしましょう。
カラーモードはCMYKになっているか
CMYKとは印刷に使われる発色方式のことで、シアン(水色に近い青緑)、マゼンタ(ピンクに近い紫)、イエロー(黄色)、キープレート(黒)を表します。一方、デザインデータを作成するパソコンは、RGB(赤、緑、青)という光の3原色を利用します。
RGBのままのデータで印刷にまわすと、出来上がりの色が画面で見たときと大きく異なってしまいます。印刷会社に渡す前にカラーモードはCMYKに、モノクロ印刷の場合はグレースケールになっているか必ず確認してください。
罫線は細かすぎないか
細かすぎる罫線を使用すると、線がかすれたり、実線なのに波線のようになったり、直線なのに波打った線になったり、印刷そのものがされていなかったりと、さまざまなトラブルが起きることが考えられます。ディスプレイ上では目視できるため見落としがちですが、0.3ポイント未満の罫線はきちんと印刷されない場合が多いので使用しない方が無難です。
おわりに
人間が行う作業にミスはつきものです。データの最終チェックをする際は「合っているよね」ではなく「間違っているかも」という気持ちで見るように心がけましょう。
特に色味に関することは、印刷物全体のイメージにかかわることなので、入稿前の入念なチェックは欠かせません。イメージ通りのDMにするために、最後のもうひと頑張りが大切です。
教えて!DM先生 編集部
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