ビジネスで使う封筒の書き方|宛名や差出人、英語の社名を書く際のマナー
2024.11.29 2018.10.29ダイレクトメールメールが一般化したものの、ビジネスではまだまだ書面でのやりとりが盛んですよね。
手紙を封筒に入れて送付したり、はがきを送ったりする機会も多いはずです。とくに重要な書類ほど封書で送る傾向が強く、封筒の書き方やマナーは現在もビジネスパーソンとして必須の知識といえます。とはいえ、敬称の付け方くらいは知っていても、目的に合わせた封筒の選び方まで完全にマスターしている方はそれほど多くはないでしょう。この記事では、宛先別の宛名(表書き)の正しい書き方、差出人(裏書き)を記載する際のエチケット、封締めのルール、切手の貼り方など、封書を送る際に必要なノウハウを詳しく紹介します。新人ビジネスマンはもちろん、「私は大丈夫」と思っている方も、勘違いしたまま覚えてしまっている可能性もあります。この機会に、ぜひ一度見直してみましょう。
目次
ビジネスで使う封筒の種類と用途
封筒の種類によって、宛名や差出人の書き方は異なります。見本とともに紹介しますので、ご参考ください。
和封筒
白色で「長形4号」と呼ばれるサイズ(横 90mm × 縦 205mm)の和封筒が、もっとも汎用性が高く標準的なタイプです。
B5サイズの便箋(びんせん)を三つ折り、または四つ折りにするときれいに収まります。
茶封筒
文字通り、茶色の封筒です。請求書や領収書など、事務的な文書を郵送する際に使われます。
洋封筒
洋型封筒とも呼ばれる開口部が広い封筒です。
おもに役員就任の挨拶状やイベントや式典への招待状、慶弔の挨拶状などの儀礼文書に用いられます。
郵便番号枠が印刷されていないタイプのものもあり、通常とは閉じ方が異なる弔辞の手紙に使われます。
社封筒
社名やロゴが印刷された和封筒です。
見積書や納品書といった商取引文書、会社パンフレット、企画や営業資料などの一般的な文書の郵送に適しています。お祝い状や弔慰状などの儀礼文書に使うのはNGです。
ビジネスで使う封筒の宛名と差出人の書き方例
封筒の種類によって、宛名や差出人の書き方は異なります。見本とともに紹介しますのでご参考ください。
和封筒(表面)
住所
- 住所は郵便番号枠の下、1文字分空けて都道府県から書き始めます。
- 2行目は1行目より下げて書きます。1、2文字分下げるか、下詰めにすると見やすくなります。
- 番地は正式には「〇丁目〇番地〇号」と書きますが、見やすいように「|」「ノ」「の」を使ってもかまいません。
- 番地の途中で改行しないように注意しましょう。
- 縦書きの場合、番地の数字は漢数字(一、二、三…)と〇(ゼロ)を用います。「一二」「一三」といった縦書きだと読みづらい数字は、「一」ではなく「十」を使いましょう。
- ビル名や社名などに英数字が含まれる場合は、アルファベットは縦書き、数字は横書きにします。ただし、アルファベットの数が多く、縦書きにすると読みづらい場合は横書きでもOKです。
社名
- 社名は必ず住所と改行して書きます。
- 住所と同じ高さか、一文字程度下げて書きます。
宛名
- 氏名は住所より大きな文字で、中央の位置を目安に書きます。
- 住所と同じ高さか、一文字程度下げて書きます。
和封筒(裏面)
差出人住所・氏名
- 表書きと合わせて縦書きで書きます。
- 中央の紙の継ぎ目の右側に住所、左側に氏名を書くパターンと、左側に寄せて書くパターンがあります。相手が目上の場合は左寄せが一般的です。
封かん日(送付日)
- 基本は左上ですが、差出人の住所・氏名を左寄せで書く場合は右上でもかまいません(上の図を参照)。
郵便番号
- 郵便番号枠がない場合は、住所の上に横書きで書くか、住所の前に縦書きで書きます。
- 郵便マーク「〒」は必須ではありません。
和封筒(郵便番号枠なし)
- あらかじめ郵便番号枠が印刷されていない封筒の場合は、住所や宛名の上部に記載します。
- 郵便マーク「〒」を記載することもありますが、郵便局の機械が正常に読み取れない場合があるので書かなくてもかまいません。
洋封筒(縦書きの表面)
- 儀礼文書に使う封筒のため、筆ペンや毛筆などで手書きするほうが丁寧です。
- 和封筒(縦書き)の表書きと同じルールに則って書きます。
- 和封筒よりも横幅があるので、郵便番号枠の右から2枠目の下あたりから書き始めるとバランスよく書けます。
洋封筒(縦書きの裏面)
- 封じ目の左側に差出人の住所や氏名を書きます。
- 封かん(送付)の日付は封筒のふた部分(右上)に書くのが基本ですが、左上でもかまいません。
- お祝いごとの手紙の場合は「寿」の封じ目を使うこともあります。
洋封筒(縦書き、郵便番号枠なし)
弔辞の手紙(お悔み状)は通常と異なり、封筒のふたを左からかぶせる「左閉じ」にするのがならわしです。あらかじめ郵便番号枠が入った洋封筒の場合、左閉じにすると表書きが上下逆になってしまうため、枠のないものを使います。
- 紙の綴じ目に文字が重ならないように書きます。
- 封じ目は「封」を使います。
- 封かんの日付は書かないのが一般的です。
洋封筒(横書きの表面)
- 番地などの数字は英数字(1、2、3…)を用います。
洋封筒(横書きの裏面)
- 封じ目の下に差出人の住所や氏名を書きます。
- 封かん日を入れる場合は、左側に入れます。
- 洋封筒の横書きの場合は、「〆」などの封字は不要です。
洋封筒(横書き、郵便番号枠なし)
- 切手は右上に貼り付けます。
- 郵便番号は左端から2文字くらいのスペースを空けて書きます。
- ビル名やマンションなどは、郵便番号の下から略さずに英数字を用います。
- 名前は住所よりも少し大きめの文字で、中央に書きます。
- 所属部署名は行を替えるか、会社名のあとに一文字空けて記載します。
- 役職については4文字目までは名前の前に記載し、5文字以上の場合は名前の上に小さめの文字で書きます。
社名入り封筒(社用封筒・社封筒)
- 表に自社名、住所などが印刷されている場合は、裏書きの記載は不要です。
- 社名のまわりに差出人の所属部署、氏名を手書きで書きます。封かん日を記入する場合もあります。
- 外脇付けで「○○在中」と手書きするとより丁寧です。
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ビジネスで封筒を使用する場合の基本ルール
宛名は送付先の相手が最初に目を通すところ。その書き方が封書全体の印象を左右するといっても過言ではありません。失礼がないように、しっかりと基本ルールを身につけましょう。
基本は縦書き
目上の方宛てやあらたまった内容のビジネスの手紙では、礼儀正しい印象を与え、日本語の文字も美しく見える縦書きで書くのが基本マナーです。
ただし、お得意様宛てにやわらかい内容の手紙を送る場合は横書きでもいいでしょう。式典・イベントへの招待状、役員就任の挨拶状などの場合は、洋封筒に横書きするのが一般的です。注意すべきは、表書き(宛名面)と裏書き(裏面)の書き方を合わせること。表書きが縦書きなら裏書きも縦書きで、表書きが横書きなら裏書きも横書きで書きます。
手書きが好印象
最近ではパソコンで作った宛名ラベルを貼り付けただけの手紙も多く目にしますが、やはり手書きのほうが丁寧で心のこもった印象を与えることができます。
手書きする場合、目上の方宛てなら黒インクの万年筆がオススメ。挨拶状、招待状、見舞状などの儀礼文書では筆ペンや毛筆も使われます。就任や開業といったお祝いごとでは濃い墨、葬礼関係の手紙では薄墨(グレー)色のインクを使うのがマナーです。
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住所や会社名は省略しない
相手の住所や会社名を省略するのは失礼にあたります。
宛先が同じ都道府県内でも住所は都道府県から書くようにしましょう。ビル名や階数も同様です。会社名も(株)(有)のように略字を使わず、「株式会社○○」「有限会社○○」のように書きます。
書き損じたら新しい封筒を使用する
一般的に、社外や第三者に封筒を送付する際、書き損じが生じた場合は新しい封筒を使用しましょう。
改まったビジネスの場では、封筒の修正は避けておいた方が、受け取り手の心象を損なうリスクが発生しないです。ただし、社内向けや親しい相手への封筒の場合は二重線を引いて修正しても問題ありません。二重線で修正後、縦書きの場合は右側に、横書きの場合は上側に正しい情報を記載しましょう。注意点として、もともとの内容が書かれておらず、データの改ざんが行われた可能性が考えられるため修正テープは使いません。とはいえ、受け取り手にマイナスの印象を与えないように、初めから書き損じがないように記載するように意識しましょう。
外脇付けの使い方
「外脇付け(脇付け)」とは、封書の内容や目的を示すために、宛名の左下に赤字で記載するものです。
一般的に使用するのは「○○在中」くらいで、必ずしも必要なものでもありません。
ただし、外脇付けの封書を受け取るケースもありえますので、それぞれの意味を知っておくとよいでしょう。
外脇付け | 意味 |
親展 直披(じきひ) | 宛名本人以外の開封を禁じるとき |
至急 急用 | 急いで開封して読んでほしい |
重要 | 重要な文書なので丁寧に扱ってほしい |
○○在中 | ○○が同封されている(「請求書在中」など) |
また、外脇付けは横に沿えるように記載することから、「添え書き」や「添え字」とも呼ばれます。
返信用封筒の書き方
封筒は自分でいちからすべて記載するものと、あらかじめ相手が必要情報を記載してくれているものがあります。
(はがきではありますが)結婚式の招待状などはあらかじめ必要情報が記載されている郵送物の一例といえます。表面には、受取人名が記載されており、その下には「行・宛」と記載されていますが、まずはこちらを二重線で消します。その後、個人名の場合は「様」、企業や団体の場合は「御中」と記載するのですが、縦書き・横書きによって記載箇所が異なります。和封筒のように縦書きの場合は消した左側に、洋封筒のように横書きの場合は二重線で消した右側に記載します。
宛先別の敬称の使い分け例
会社、役職者、担当者…など、宛先によって宛名の書き方や敬称のつけ方は異なります。以下を参考に、間違えないように注意してください。
会社宛て
- 社名の下に「御中」をつけます。
- 社名にアルファベット文字が入っている場合、全体が縦書きなら縦書きで、全体が横書きなら横書きで記載します。
部署宛て
- 部署名の下に「御中」の敬称をつけます。
- 部署名は社名の行頭にそろえる書き方と下げて書く書き方があります。
役職者宛て
- 社名と部署名のあとに改行して、まずは役職(肩書き)、次に氏名の順で書きます。
- 所属部署は社名の下に一文字空けて書くか、改行して書きます。
- 役職は氏名の上に小さい字で書き、氏名の下に「様」の敬称をつけるのが基本です。
- ただし、上の右側の例のように氏名の下に役職を書いてもかまいません。その場合は「様」はつけないのでご注意ください。
- 相手の自宅に発送する場合は、原則役職はつけません。
社名や部署名、役職(肩書)名が長い方、役職が複数ある方の宛名の書き方は次の通りです。
担当者宛て
- 社名と部署名のあとに改行して氏名を書きます。
- 社名と部署名が1行に収まらない場合は、改行して書いてもかまいません。
- 担当者の氏名の下に「様」の敬称をつけます。
連名(複数名)宛て
- 役職の高い人から順に書きます。
- 役職(肩書き)や「様」の敬称は一人ひとりにつけます。
- 宛名の対象が多い場合は、「御一同様」「スタッフ一同様」と書いてもかまいません。
取引先の方の家族に宛てて手紙を送る場合は次のように書きます。
- 世帯主、配偶者、子供の順で書きます。
- それぞれの氏名に「様」をつけます。
- スペースの都合上、全員の名前を記載できない場合は、「ご家族様」「御家族様」と書いてもかまいません。
ビジネスで封筒に英語を使用する場合の書き方
これまでは日本国内、および日本語における封筒の書き方についてご説明しました。
しかし、海外のお客様などに封筒を送る際は、対象となる国のルールやマナーに則る必要があります。以下にて、ビジネスで封筒に英語を使用する場合の書き方をご紹介します。
縦書きと横書きはどっち?
英語で封筒に情報を記載する際、縦書きと横書きのどちらにすればよいのかを迷う人は多いのではないでしょうか?
横書きで宛名を記載する場合はそのまま横書きで問題ありませんが、縦書きの場合は2パターンに分かれます。会社名など、アルファベットの羅列になっている場合は縦書きで、人名や企業名の場合は縦書きで記載します。例えば、ABCやXYZなど、単なるアルファベットの並びで、単語ではない場合は縦書きになります。一方、横書きになるシチュエーションは上記以外の英語表記であり、外国の名前や海外の会社名などが該当します。当社ディーエムソリューションズ(DM SOLUTIONS.Co.,Ltd)の場合、単なるアルファベットの並びではないため、横書きになります。
宛名や差出人を書く場所
海外宛の封筒に宛名や差出人を書く場合、それぞれ下記のように記載します。
左上 | 差出人の名前と住所 |
右上 | 切手 |
中央 | 送付先の名前と住所 |
左下 | 「AIR MAIL」あるいは「VIA AIR MAIL」 |
最後に記載した「AIR MAIL」や「VIA AIR MAIL」は航空便を指すものであり、しっかりと大きな字で記載する必要があります。
宛名を書く順番
英語表記の場合、宛名や差出人の情報を記載する順番が、下記のように日本のルールとは異なるため、注意しましょう。
・受取人名・役職
・取引先会社名
・部署名
・番地 ストリート名
・市名 州名 郵便番号
・国名
受取人や企業名など、誰に届けたいのかといった最も重要な情報を先に記載し、日本でいう都道府県は最後尾に記載します。
敬称の付け方
日本における「御中」や「様」といった敬称は、アメリカにおいては「Mr. 」や「Ms. 」になります。
男性であれば「Mr. 」を、女性の場合は「Ms. 」を、名前の前に記載しましょう。なお。自分の名前には敬称を付けないことが一般的のため、記載は控えておくことをおすすめします。
差出人の書き方
先述の通り、海外に封筒を発送する際は表面の左上に差出人の名前と住所を記載します。
差出人の名前と住所も宛名と同様の内容を記載し、住所については小さい情報から大きい情報の順に書きます。また、差出人を明確にするために、名前や住所の上部に「from:」と記載すると明確になります。
封締めのルール
封筒の閉じ方にもルールとマナーがあります。正しい方法を覚えて、きっちりとした印象を与えましょう。
「〆」「封」などの封字を書く
封字は、相手に対しての「確かに封をしました」という印です。普通の信書ではつけないこともありますが、重要な文書であれば必須です。一般的に使われるのは次の5種類です。
封字 | 意味 |
「〆」「締」 | 一般的な封字です。「〆」は「締」の略字。どちらも締めるという意味です |
「封」 | 封じるという意味で、少しあらたまった印象です |
「緘(かん)」 | 閉じるという意味で重々しい印象。重要な書類に使います |
「寿」 | 婚礼などの慶事では「締める」「封じる」はふさわしくないため、「寿」を使います |
洋封筒(横書き)のみ封字は不要
洋封筒を横書き(横向き)で使う場合は封字を書きません。
封はのりで貼り付ける
儀礼文書や目上の方に宛てた文書はもちろん、たとえ事務的な文書であっても、セロテープやホチキスで封印するのはNGです。「雑な会社だな」という印象を与えないように、のりで丁寧に貼るか、両面テープを使うようにしましょう。
切手の選び方・貼り方
選び方
ビジネスで使う切手に決まりはありませんが、キャラクターものなど必要以上に個性的なものは避けたほうが無難です。通常の切手では味気ないという方には、季節に合わせた「記念切手」なら先方への心遣いが伝わりオススメです。
ただし、お悔やみの手紙には通常の切手を使います。弔辞用の切手は遺族が会葬・法要の通知や御礼に使うものなので注意しましょう。慶事用の切手はお祝い全般に使えます。
貼り方
横長の封筒や縦長の封筒を横書きで使う場合は「右上」に貼ります。マナーというわけではありませんが、こうしておくと、縦向きにするとちょうど縦長封筒と同じ左上にくるため、郵便局での機械による仕分けが正確かつスムーズに行えるからです。
切手の数はできるだけ1枚、もしくは2枚におさめましょう。ビジネスの場合、何枚も貼ると「あまったモノを寄せ集めた」「あり合わせで済ませた」という不快な印象を相手に与えてしまいます。2枚以上貼る場合は、重ならないように縦に並べて貼るのが正解です。
ただし横書きの場合は、下のように横に並べます。
封筒に入れる手紙の折り方
適切な封筒を選び、正しく宛名を書いても、中に入っている手紙が適当に折られていると、読み手は読む気をなくしてしまうものです。そこでここでは、封筒に入れる手紙の折り方について、和封筒と洋封筒に分けてご説明します。
和封筒の場合
一般的な和封筒は下記3サイズであり、それぞれのサイズを三つ折りできる大きさになります。
・長3サイズ:120mm x 235mm、A4サイズの三つ折りが入ります。
・長4サイズ:90mm × 205mm、B5サイズの三つ折りが入ります。
A4やB5はビジネス、プライベート問わず、多くの人が利用している紙のサイズです。
下記はこれらの手紙をキレイに三つ折りしたあと、和封筒に入れるまでの手順です。
1.下1/3を上に折り上げます
2.上1/3を下に折り下げます。
3.封筒の裏から見て、手紙の書き出しが右上に来るように、和封筒に入れます。
洋封筒の場合
洋封筒の中には、洋長3(235mm × 120mm)やJIS洋1(176mm × 120mm)などさまざまなサイズが含まれます。
多くの洋封筒は、下記の手順で四つ折りで手紙を入れて発送します。
1.右から左に縦半分に折ります。
2.縦長になったものを下から上に折って四つ折りにします。
3.封筒に入れるときは、裏から見て書き出しが左上に来るように入れます。
おわりに
封筒の書き方に限らず、ビジネスマナーって一度覚えてしまえばなんてことはないんですが、それまでが大変なんですよね。
少しでも早く、かつ効率よくマスターするコツは、とにかく数をこなすこと、そしてマニュアルをいつでも手に取れる場所に置いておくことではないかと思います。毎回毎回探していたら、時間がもったいないですからね。
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