DM・チラシ・フライヤーデザインの配色の基本ルール

2021.11.22 2018.12.17印刷・デザイン
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DMやチラシを作る上で大切なのが、配色のバランスです。日々たくさん目にする情報の中で、少しでもお客さんに興味を持ってもらうためには、印象的なカラーリングが求められるからです。

ただ、「色選びは適当でいいんじゃないのか?」「感覚で適当に作業している」「このカラー選びでいいのか、自信がない」というデザイン担当者も多いのではないでしょうか。

「配色バランス」というと難しく聞こえるかもしれませんが、実は色の基本的なルールを知れば、誰でも簡単に配色を組み立てることができます。

ここでは、すぐにデザインに活用できる「配色基本ルール」をご紹介します。

色の基本について

まずは、色の基本的なルールについて理解しましょう。

色には、「彩度・色相・明度」という3つの要素があります。

彩度

彩度とは、色の鮮やかさのことです。

彩度

同じ色でも、彩度が高い色ほど鮮やかに、低い色ほどくすんで(グレーに近く)見えます。例えば、同じ「赤」という色でも、消化器の赤色は彩度が高い鮮やかな赤、えんじ色のような落ち着いた赤は彩度の低い赤、という風に違いが現れます。

彩度が高く、鮮やかな色は華やかで目立ちます。くすんだ色は、上品さや穏やかさを感じさせます。

色相

色相

色相とは、色合いのことを指します。赤、黄色、緑、青などさまざまな色がありますが、それぞれは独立したものではなく、連続して「色相の輪(色相環)」を作っています。

色相環で、隣りや非常に近い場所にある色のことを「類似色」といいます。多くの色を使わずに、類似色を組み合わせると、まとまりのある、センスのあるデザインになります。対して、反対側にある色のことを「補色(反対色)」と呼びます。お互いを引き立たせ目立つ色合いなので、補色同士を同じくらいの割合で使うと派手な印象になり、どちらかの色を少量入れるとアクセントとして効果的に活用できます。

色相環のうち、赤紫~黄色を暖色、青緑~青を寒色といいます。文字通り、暖かい感じの色から冷たい感じの色という意味で、DMなどのデザインにも使われています。例えば、夏の冷たさを感じさせるデザインの場合は、青系のカラー配置を選びますよね。それは、「寒さ(涼しさ)」を感じさせるためです。

明度

明度とは、色の明るさの度合いのことです。

明度が高いほど白く明るく、低いほど暗い色合いになります。明るい色は軽い感じ・爽やかなイメージに、暗い色は落ち着いたイメージを与えることができます。

また、明度の差を利用することで、コントラストの差も強調することができます。明度差が大きいと強調され、小さいと弱く見えるので、情報の重要度を強調したいときには上手に活用しましょう。

配色のポイント

デザインが「なんだか見にくい」「ごちゃごちゃしている」と感じる理由の一つが、配色の失敗です。例えば、大切なところを目立たせようとするあまり、文字をカラフルに色分けしている場合。どこが重要かも伝わりませんし、まとまりのない印象を持たれてしまいます。

配色とは、デザインにおける色の配置や組み合わせのこと。こう書くと難しいと感じてしまうかもしれませんが、ちょっとしたポイントに気をつけるだけで、誰でも洗練されたデザインに近づけることができます。

DM・チラシ・フライヤーデザインにすぐに活かせる内容ですので、ぜひ活用してください。

配色のバランス「70:25:5」を意識する

基本的な色のバランスとして覚えておきたいのが、「70:25:5」という比率です。

配色のバランス

これは、デザインの中に使う色の割合を示しています。

70%を占めるのが、「ベースカラー」。背景など、面積の広いところに配置します。白や淡い色、薄い色を作るのが一般的です。

25%を占めるのが、「アクセントカラー」。デザイン全体のイメージを左右する色なので、商品や企業のイメージを示すカラーを使います。(次の項目で、ターゲット別のカラー選びの方法をご紹介しますので、アクセントカラー選びに迷う方は参考にしてください)

残りの5%が、「アクセントカラー」です。これは、強調したい部分に使い、目を引くための役割を果たします。より目立たせるためには、メインカラーの「補色」を使うのがポイントです。

デザイン全体で見た時に、それぞれの色がこのくらいの割合で見えるように調整してみてください。自ずと、強調すべきポイントが絞られ、重要なことが伝わりやすくなるという効果もあります。

色を使いすぎない

「70:25:5」の法則とも共通しますが、デザイン要素として使う色の数は絞りましょう。基本通りに行けば3色、多くても5色程度に留めるようにすると、まとまりあるデザインになります。

色を増やしたい際は、「類似色」を選ぶようにすると、デザインの調和を保つことができます。

また、色数が多いときにはそのうちの1つを無彩色(白と黒を混ぜて作られる色。グレーなど)にすると、色どうしの衝突が減ります。彩度がないため、どの色とも相性良く合わせることができるからです。

ついついさまざまな色を使いたくなりますが、そこを我慢することで格段にデザインが洗練されますよ。

コントラストを意識する

色合いがキレイでも、「読みにくい」デザインであれば、内容を読んでもらえません。特に、DMやチラシは読まれなくては意味がありません。そこで、上手に活用したいのが「コントラストの差」です。

コントラストの付け方には、フォントの大きさや字間を変えるという方法もありますが、カラーリングでも大きくメリハリを付けることができます。

具体的には、背景色と文字色に明度や彩度の差(もしくは、両方の差)をつけることで、コントラストがはっきりし、文字の読みやすさが上がります。また、類似色どうしを重ねてしまうと、文字の読みにくさが上がってしまうので、注意しましょう。

コントラストを意識する例

ターゲット別おすすめのカラーリング

配色のルールを使ってDMの効果を高めるためには、ターゲットに与えたいイメージを明確にした色選びが大切です。先述の通り、商品や企業のイメージカラーがはっきりと決まっている場合は、それをメインに据えることで大きくアピールすることができます。

いくつか、具体的な考え方をご紹介します。

購買欲を刺激するためには「赤」

赤やオレンジなどの色は、行動的な印象を与える色です。注目を集めやすい色なので、スーパーなど実店舗でもよく使われます。セール告知など、お客さんの購買意欲を刺激したい場合は、上手に取り入れましょう。

高級感を伝えるには「黒」や「紫」

黒や紫(暗い紫)をメインにすると、ゴージャスな雰囲気が生まれます。高級商材をアピールしたいときには取り入れたい色味です。

安心感や優しさを伝えたいなら「ピンク」

女性向けのサービスや、子供向けのサービスなど、安心感や優しさを伝えたい場合は、ピンク系の柔らかい色合いを使うと意図を自然に伝えることができます。

知的な印象、落ち着いた印象を与えたいなら「青」

コンサルティングや士業など、知的な印象や落ち着いた印象を与えたい場合は、「青」や「水色」を活用すると効果的です。

おわりに

配色に明確なルールは無いからこそ、どのような色を選んでいいか迷ってしまうと思います。そんなときは、今回ご紹介した基本的なルールや色のイメージを思い出し、デザインに活用してみてください。

ルールを意識することで、配色に悩む時間も省くことができますし、お客さんに効果的にDMやチラシの内容を印象づけることができます。

また、配色のセンスを磨くためには、日々さまざまなデザインに触れることが有効です。良いデザインを見つけたら、「どこがいいのか」を考えてみてください。きっと、実践に役立つはずです。

タグ : デザイン
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教えて!DM先生 編集部

ディーエムソリューションズ㈱のダイレクトメール・物流のエキスパートメンバーで結成。法人取引14,400社以上の実績にもとづいた、DMの反響アップ、コスト削減、業務改善などに役立つ情報を続々発信していきます。