クーポンとは?クーポンの種類・作成方法・効果測定など戦略を解説!
2024.05.28 2022.11.01ダイレクトメールクーポンは新規顧客獲得のみならず、リピート促進、顧客囲い込みにも使える強力な販促施策。しかし、リアル/ネット問わず膨大な数のクーポンで溢れている現在、積極的に展開し、売上を伸ばしている企業が存在する一方で、ユーザーに「使ってみたい」と思われずに埋もれてしまっているクーポンが多いのも事実です。
この記事では、「クーポン施策をどのように進めていいかわからない」「何度か実施したけれど上手くいかない」という方に向けて、【基礎知識編】【企画・戦略編】【制作編】【効果検証編】と4つのフェーズに分けて、クーポン施策成功に欠かせないノウハウを紹介します。他社活用事例やデザイン例も豊富なので、ぜひアイデアのヒントとしても活用してください。
目次
【基礎知識篇】そもそもクーポンとは?
クーポンとは、辞書的には「切り離しのできる金券」を意味します。いわゆる、〈紙〉の割引券やお買い物券のイメージですね。とはいえインターネットやスマートフォンが普及し、オンライン上のクーポンも当たり前になった現在では、商品割引や引き換えの役割を果たすチケットを総称してクーポンと呼ぶことが一般的です。
【企画・戦略編】クーポンの特典の種類と活用事例
マーケティングにおいては、ツールの特徴を知り尽くしていないと有効な企画・戦略は立てられません。ここではクーポンの特典の種類と、それぞれの活用事例を紹介します。
お試し体験
おもに新規顧客獲得を目的として使われる特典です。通常の商品・サービスを初回限定で割引価格にしたり、サンプル商品やカウンセリングサービスを無料にしたりすることで、ユーザーの「損したくない」「失敗したくない」といった心理的ハードルを下げるのが狙いです。
とくに化粧品や健康食品通販・EC、エステサロンや教室系、サブスクリプション(継続課金)サービスなど、リピートが売上の大きな割合を占める業種で活用されています。
活用例
英会話教室金額訴求 | グループレッスン初回限定お一人様◯〇〇円引き(クーポン1枚で全員割引) |
---|---|
コンビニ | ポイント数に応じて新商品やおすすめ商品を無料でゲットできるクーポン発行 |
オンラインメディア | 有料会員と同じサービスを10日間無料体験できる |
値引き
もっとも一般的な特典で、通常はキャンペーンのように期間限定で実施されます。特定の商品のみ割引が適用されるもの、セット購入限定のもの、合計金額に割引が適用されるものなどが代表的です。
また、「前回から××日以内の来店で、飲食代から〇%OFF」といった条件を付ければ、来店サイクルの短縮も見込めます。アメリカの某民泊サイトのように「既存顧客の紹介で登録すると初回の旅行が割引」というクーポンなら紹介促進にも効果的です。
メインとなるターゲットは既存顧客ですが、最近では新規顧客獲得を目的にSNSでの口コミ拡散を狙った、ユニークな条件の割引も目にしますね。
活用例
美容室 | カット〇,〇〇〇円 + トリートメント〇,〇〇〇円 ⇒ セットなら〇,〇〇〇円 |
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レストラン | 合計金額〇,〇〇〇円以上で15%OFF |
宅配ピザ | 「メガネ割り」メガネをかけている方20%OFF |
キャッシュバック
キャッシュバックは割引とは違い、一旦商品を購入してもらった上で該当金額を払い戻すサービスです。商品購入時に払い戻すタイプと、後日振り込みなどで払い戻すタイプがあります。某携帯電話会社のように、現金ではなく、ポイント還元やプリペイドカードに払い戻す方式もありますね。
該当金額が同じ場合、ユーザーにとっては割引ほどのお得感はありませんが、その分〈安売り〉のイメージが付きにくいというメリットがあります。
活用例
不動産 | ×月中にご成約の方に〇〇万円キャッシュバック |
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携帯電話 | 案内状が届いた方、新機種への機種変更で〇,〇〇〇〇円キャッシュバック |
無料
特定の商品(非売品含む)・サービスと無料引換できるタイプや、「〇個以上購入で(または〇,〇〇〇円以上購入で)1個無料」のような、オプション商品・サービスのみを対象としたタイプがあります。ともに新規顧客獲得に効果的ですが、オプション無料は既存顧客の単価アップも期待できます。
割引とは異なり、無料引換の場合は景品表示法の適用対象となり、引換商品の価額に上限が定められているので注意が必要です。実施を検討している方は、下の「要注意!クーポン作成時の注意点」の項目もご覧ください。
活用例
平均客単価3,000円店舗 | 4,000円以上お買い上げの方に〇〇プレゼント! |
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宅配クリーニング | シミ抜き・再仕上げなどのオプションメニューが無料 |
ハンバーガーショップ | 公式アプリダウンロードでポテト(S)が無料 |
カラオケ店 | 2時間以上のご利用で最初の1時間無料 |
送料無料
通販やECサイトで使われる特典です。一般的には定期コース会員などリピーターや特別会員を対象とし、それ以外では「〇,〇〇〇円以上のお買い物で」などの条件を付けて適用されます。
活用例
百貨店ECショップ | メルマガ継続購読お申込み方、お誕生月限定で送料無料 |
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アパレルEC | LINEのお友達登録で送料無料クーポンプレゼント |
会員限定イベントへの招待
優良顧客や会員登録者を対象に、セールや試写・試飲会などのイベントに招待する特典です。目的はリピート・LTV(顧客生涯価値)最大化を含む、顧客ロイヤルティの向上。プロモーションではなく、商品理解や日頃の感謝を伝えることを前面に出した「商品勉強会」や「お客様感謝祭」を実施している企業もあります。
活用例
コスメ口コミサイト | プレミアム会員登録で百貨店コスメイベントご招待 |
---|---|
コラボ企画 | 〇〇サイト会員限定、××ドーナツで△月毎週土曜日ドーナツ1個無料 |
【制作編1】効果の高いクーポン制作のコツ5選
冒頭でお伝えしたように、オンラインでもオフラインでも〈安売り〉で溢れている中、ただクーポンを配るだけでは集客は期待できません。ここでは、クーポンの反響を上げるためのクリエイティブのポイントやアイデアを紹介します。
《1》目的とターゲットの明確化
他の広告・販促施策と同様、クーポンにおいて重要なポイントです。「何のため(新規獲得/リピート促進/客単価アップなど)に実施するのか」、「そのために誰(見込み客/新規顧客/リピーター/優良顧客/休眠顧客)に配布するのか」ということが明確でなければ、ユーザーが「この店のクーポンを使ってみたい!」と思うようなコピーやデザインは作れません。
ターゲットに響く表現やアプローチ方法はこちらの記事が参考になるでしょう。
《2》理由を伝える
ただ〈安さ〉だけを訴求したクーポン施策を続けていると、安いときだけやって来てリピートにはつながらない、いわゆる〈クーポンハンター〉のような客ばかり増えてしまう恐れがあります。
とくに深刻なのが〈安売り〉によるブランドイメージの毀損。場合によっては、価格ではなく商品・サービスの質に惹かれていた既存顧客が離れていってしまう原因にもなります。そうした事態を防ぐためにも、クリエイティブの中で下のような実施理由を伝えておくことが大切です。
新しい商品(サービス)の良さを知ってもらいたいから |
日頃の“ありがとう”の気持ちを込めて |
〇月〇日は××の日!(オリジナル記念日) |
《3》保存性を高める
マーケティングには〈単純接触効果〉という言葉があります。「人は接する回数が多い人やモノに好印象を抱きやすい」という意味ですが、これはクーポンも同じ。受け取った人が「近くに置いておきたい」「使いたい」と思うようなクリエイティブにすることで、利用してもらえる確率が高くなります。
たとえば下のクーポン付き卓上カレンダーも、そのようなクリエイティブのひとつです。
普通、カレンダーは年間通して使うものなので、使ってもらえさえすれば保存期間は1年間。しかも卓上タイプはオフィスでのニーズが高いので、ビジネス街の店舗や、会社員をターゲットにした業種に最適といえます。例はダイニングバーのカレンダーですが、それぞれの月に旬のメニューが割引されているとうれしいですね。
保存期間はカレンダーに劣るものの、使用率の高さを期待できるのが、次の〈クーポン付きうちわDM〉です。
うちわとして使う際に指を入れる穴が、切り取りできるクーポンになっています。どんなにクーラーが普及しても、うちわは夏の必需品。使ってもらえさえすれば、(変な言い方ですが)嫌でも目にしてもらえます。
このうちわDMの場合、裏面を下のようなフォトジェニックなデザインにすることで、インスタグラムやtwitterなどSNSでの認知拡大効果も期待できますね。
《4》並べる、または綴る
人は一度に数種類のクーポンを見ると、判断軸が「使う/使わない」から、「どれを使うか」に変わるといわれています。そうした心理を利用したのが、下のようなクーポンチラシです。
世界的に有名な某ハンバーガーチェーン店でも、よくこのようなタイプのクーポンを配布していますね。
高級志向のショップの場合は、チラシよりも、クーポンを綴って作る冊子タイプのものが良いでしょう。
例はネイルサロンのクーポン冊子。安売りの印象を与えないために、デザインや紙質にこだわったり、〈ご優待〉や、クーポンではなく〈チケット〉〈券〉という表現を使ったりすることもポイントです。切り離し無効にして、後半のページになるほど割引額を高くすればリピート促進にもつながります。
《5》パーソナライズする
販促やマーケティングで使う〈パーソナライズ〉とは、顧客1人ひとりに応じた情報や広告を発信すること。具体的な施策として、ECサイトでの購入履歴や訪問商品ページなどのデータをもとに、好みにあった商品をおすすめする〈パーソナライズDM〉が挙げられます。
下はアパレルショップのパーソナライズDMの例です。
顧客の嗜好によっておすすめ商品を変えているだけでなく、累積購入金額に応じてクーポンの割引率もカスタマイズされているのがポイント。購入すれば購入するほどお得になることがわかれば、リピート促進につながります。
【制作編2】要注意!クーポン作成時の注意点
クーポンは集客効果が高い反面、ユーザーの誤解を招いてトラブルに発展する場合があります。また、活用方法によっては景品表示法の適用対象にもなります。クーポンも広告物のひとつ。誤解のない公正な広告をつくるのは広告主の責任です。ここではクーポン作成時の注意点を紹介します。
注意書きとして記載すること
利用方法・取引条件などの記載が不十分だと、誤解を招くだけでなく、不安で使用を止めるユーザーも増えてしまいます。できれば最低限以下についてはわかるように、注意書きを記載しておきたいものです。
- 使用有効期限(できれば西暦/元号も)
- 一人で何回/何枚使用可能か(例:「お一人様1回限り有効」)
- 他のクーポンや割引との併用は可能か
- 返金対応(例:ECサイトでクーポンを使って購入した商品の返品時)
- 換金対応(例:クーポン割引額が商品価格を上回っている場合)
- 他人への譲渡は可能か
- 同価格相当の他商品やサービスへの変更は可能か
景品表示法の景品規制
景品表示法(景表法)とは消費者の利益の保護を目的に定められている法律です。クーポンが規制対象となるのは、〈無料引換券〉のように商品との引き換えに利用されるもの。引換商品が〈景品〉とみなされ、価額の上限が次の通り定められています。
〈価額〉とは、売り手が設定できる価格(値段)とは異なり、より客観的に評価された金額のこと。〈取引価額〉とは通常行われる取引の価額のうち最低の金額、簡単にいうと「取り扱っている商品でもっとも安い商品の価額(消費税込み)」を指します。
たとえば、3,000円以上の商品のみを販売しているアパレルショップの取引価額は3,000円。たとえばその店舗が集客を目的に〈無料プレゼント〉のクーポンを実施する場合、プレゼントの価額はその10分の2である600円相当のものを越えてはいけないということになります。
ただし、引き換えるものが以下の場合は景品とみなされない場合もあります。
- 試供品(と明記されているもの)
- アフターサービスと認められるサービス
また、「肉まん5個購入で肉まん1個無料券をプレゼント」のようなクーポンも景品規制の対象にはなりません。
景品表示法による景品規制について詳しく知りたい方は、次のページをご覧ください。
参考サイト:消費者庁 景品に関するQ&A
【施策実施後編】クーポンの効果測定・検証方法
販促施策の精度を上げていくためには、効果検証→改善のサイクルが欠かせません。ここでは、クーポンの反響と売上効果を正しく測定するための方法を紹介します。
クーポン利用率(回収率)の測定・計算方法
クーポンの反響を示す利用率(%)は「=利用件数÷配布数」の式で求められます。たとえばポスティングでクーポン付きチラシを10,000部配布して100件の来店があった場合、利用率は下のようになります(表内では成約を示すCVで表記)。
なお、クーポンを実施する際は、このように表の形式で内容や配布数、反響を管理しておくことが重要です。後々、反響の良い内容・クリエイティブを検証したい場合や、最適な配布方法を探りたい場合に役に立つからです。
とはいえ利用率だけを見ていても、クーポンの本当の効果は測れません。「他の販促方法と比較してどれくらい効果的なのか」「売上への貢献度合いはどれくらいか」というところまで見極めるためには、施策による売上や費用対効果を検証する必要があります。
クーポン施策による売上・費用対効果の測定方法
クーポン施策の効果測定で注意すべきことがあります。それは、〈クーポン利用による売上〉だけで結果を判断しないこと。なぜなら、〈クーポン利用による売上〉だけでは純粋なクーポン効果、つまり「クーポンを配布しなかった場合と比べてどれだけ売上が増えたか」がわからないからです。
より正確にクーポンの効果を測定するためには、〈クーポンなしでも可能だった売上〉を把握し、〈クーポン利用による売上〉と比較することが必要なのです。ここでは化粧品通販・ECの新商品プロモーション用クーポンDMを例に、その方法を説明していきます。まず、〈クーポン配布なしでも可能だった売上〉を知るために、下のように〈クーポンあり/なし〉2種類のDMを発送します。
(※店舗などの手渡しクーポンの場合は、〈クーポン配布あり店舗/なし店舗〉〈クーポン配布あり時期/なし時期〉の比較で考えてください。)
効果検証に必要なコストなどの数値は以下の通りとします。
クーポン施策コスト(制作・発送費他) | 1,000,000円 |
---|---|
商品粗利率 | 60% |
客単価(=商品価格) | @10,000円 |
DM発送から7日後に反響を集計したところ、それぞれ次のような結果が出ました。
ここで右下の〈クーポン利用による売上〉から〈クーポンなしでも可能だった売上〉を除きます。〈クーポンなしでも可能だった売上〉の目安になるのがクーポンなしDMの売上額。つまり、このクーポンDM施策による売上効果は、クーポンありDM売上の350万円から125万円を引いた、225万円ということになります。
このように限りなく正確なクーポンの売上効果を導きだすことで、他施策との比較に必要な費用対効果などについても、より正しい数値を知ることができるのです。
今回はあくまで初動の反響に絞って説明しましたが、その後のリピート率やLTVを比較するなど、長期的に検証をおこなうことでより確かな効果を測ることができます。
なお、説明に用いたROASやLTVなどの用語や計算方法については、下の記事で詳しく紹介しています。
おわりに
以上、クーポンについて基礎知識から活用方法、効果検証まで一通り紹介してきました。
途中でSNSでの拡散効果にも触れましたが、これからのクーポンは今までのような〈安さ〉訴求だけでなく、イベント体験など、よりユーザーにワクワク感を提供できる〈体験型〉のものも増えていくのではと思っています。
カナダのある庭仕事の道具を扱うショップでは、ショップの周りに散らばっている落ち葉にクーポンをスタンプしてキャンペーンをおこない話題になったのだとか。なんとも胸躍るアイデアではないですか!?
実際の効果(売上)は不明ですが、一度聞いたら忘れませんし、「自然に優しいショップ」というブラディング効果も抜群。長期的に考えて素敵な施策だなと思います。
この記事が、あなたの〈お客様に喜ばれるクーポン施策〉のお役に立てると嬉しいです!
教えて!DM先生 編集部
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