顧客分析(RFM分析・デシル分析)を活用したマーケティング手法とは?
2024.05.31 2019.08.01マーケティング商品をより多くの人に購入してもらうためにDMを作成し送付してみたけれど、思っていたほどの反響がない…。ありがちな悩みですよね。そんなときは「顧客分析」を行ってみると打開策が見えてくるかもしれません。
ここでは、「顧客分析」とは何なのか、その方法やどういうメリットがあるのかなどについてご説明していきます。
目次
顧客分析を行う理由・目的は?
顧客分析とは、自社のサービスを利用もしくは商品を購入した人(顧客)が、どのような層の人たちなのか、どのような購買行動をとっているのかを分析することです。顧客分析を行うことは、顧客満足度や購買率のアップにつながります。
顧客分析の基本
「顧客について知ること」が顧客分析の基本ですが、「一体どうやればいい?」と思ってしまいますよね。いきなりマーケティング会社などに依頼しなくても、もともと持っている顧客データや自治体などのデータを活用したり、顧客にアンケートやインタビューを行うなど、自分たちでできることはたくさんあります。顧客分析を行う際は以下の3つのポイントを押さえておきましょう。
市場規模と今後の市場成長の把握
顧客が属している市場規模と成長性を分析します。自社商品の市場が拡大しているのか、縮小しているのかで、今後の事業の展開の仕方を考え直さないといけないかもしれません。市場規模を把握する方法としては国勢調査などの政府・自治体の資料やリサーチ会社などのデータを利用します。
顧客ニーズの把握
自分たちがいくら良いサービス、商品であると思っていても、顧客のニーズを満たしていない限り支持されることはありません。「多分こんなことを求めているんだろうな」という想像ではなく、顧客にアンケートをとったり、ターゲットに近い顧客を集めてインタビューを行ったりするなど、実際に顧客の声に耳を傾けることが必要になってきます。
購買プロセスの把握
顧客がその商品を購入するにいたったプロセスを把握することも欠かせません。顧客が法人の場合は購買者と決裁者が違うことが多いため、購買プロセスは複雑になりがちです。一つのものを購入するにも複数の担当者が関わったり、上司の承認が必要だったりするので、購買の意思決定にかかる時間は長くなり、価格の安さが重視されやすい傾向があります。
一方、顧客が個人の場合は購入の意思決定は短めで、価格の安さよりも個人の好みが反映されやすいと言えます。
このように法人向けと個人向けでは購買プロセスが異なるので、それぞれに適した戦略を考える必要があります。
顧客分析の方法
実際に顧客分析を行うにはどういう方法をとればいいのか。代表的な5つの方法をご紹介します。
デシル分析
デシルとはラテン語で「10分の1」という意味です。全顧客を購買金額の高い順から10等分することで、どのグループが自社の売り上げに貢献しているのかがわかります。
エクセルなどを利用して、比較的簡単に分析できます。
デシル分析のやり方
- 顧客を購入金額の多い順に並べます。
- 多い順に並んだ上位から、10のグループに分けます。たとえば顧客が1,000人だとしたら、100人ずつの10グループに分けるということです。
- それぞれのグループの購入金額の合計を算出します。
- 全顧客の購入金額合計に対して、各グループの購入金額がどれくらいの割合なのかを算出します。
- 上位からの累積でどれくらいの比率を占めるのか「累積購入金額比率」を割り出します。
デシル分析をすることによって各グループの売り上げ比率がわかるので、売り上げアップのためにはどのグループにアプローチすべきなのかという課題が見えてきます。
セグメンテーション分析
顧客の購入履歴や住所、年齢などのデータから、属性ごとにグループ分けしてマーケティングを行うもので、顧客分析の中では最も簡単な方法といえます。
セグメンテーションとは英語で「分割」という意味で、マーケティングにおいては市場細分化の手法を指します。セグメンテーションは「地理的変数」「人口動態変数」「心理的変数」「行動変数」の4つに分類されます。
地理的変数とは、国、都道府県、市町村などの地理的な要素のことです。人口動態変数とは、年齢・性別・家族構成・職業・所得などが該当します。心理的変数とは、価値観・性格・好み・趣味趣向・ライフスタイル・購買動機など。行動変数は、購買状況・購買パターン・製品に対する知識の有無・態度などが当てはまります。
セグメンテーション分析では何を指標とするかが重要となります。「顧客分析によって何を知りたいのか」という点を明確にしてから分析を行いましょう。
行動トレンド分析
主にシーズン商品を扱うアパレル企業が用いる手法で、ある特定の期間(シーズン)に絞って分析します。方法としては、顧客を年齢層ごとのグループに分け、各グループがいつシーズン商品を購入したかを調べます。商品を販売後、早い段階で購入してくれるグループが流行(トレンド)をつくっているため、この層に向けていつどのようにアプローチをすれば効果的なのかを考えていきます。
CTB分析
Category(カテゴリー)、Taste(テイスト)、Brand(ブランド)の3つの指標を使ってグループ分けすることをCTB分析といいます。カテゴリーは雑貨、ファッション、インテリアなど、テイストは色、素材、サイズなど、ブランドはファッションブランドやキャラクターなどを指します。この手法では、顧客の好みを知ることができるため、今後どのような商品を購入するかを予測することができます。しかしながら購入履歴からこれらのデータを抽出するための手段がまだ確立していないため、CTB分析を行うには独自のシステムを導入する必要があります。
RFM分析
顧客の購入履歴から、Recency(最新購買日)、Frequency(購買頻度)、Monetary(累計購買金額)を抽出して分析する方法です。要素ごとに5段階で評価し、合計点を出して顧客をランクづけします。
Recencyについて
1年前に購入した顧客より1週間前に購入した顧客に高い点をつけます。その顧客が最後に購入したのがいつかを調べてグループ化します。
Frequencyについて
顧客が今まで何回購入してくれたかを調べ、購入回数の多い顧客に高い点をつけます。Fの数値が高い顧客が多い場合は固定客が多いということになります。
Fの数値が低い顧客が多い場合は、商品やサービスに満足していなかったり、価格が高いと思われていたりする可能性があります。
Monetaryについて
購入金額が多い顧客に高い点をつけます。購入金額の合計を多い順に並べ、上にくる顧客ほどMの数値が高くなります。
RFM分析で得た数値により、以下のような傾向がわかるとされています。
- Rが同じ場合、Fが高ければ固定客。またFやMが高いほど購買力がある。
- Rが高い場合、自社の将来の収益に貢献する可能性が高い。
- Rが低い場合、FやMの数値が高くても離れていく可能性が高い。
- RやFが高くMが低い場合、購買力が低い。
- Fが低くMが高い場合、Rが高ければ良い顧客である。
分析結果をマーケティング活動にも活かす
顧客分析の方法は5通りあることをご説明しましたが、それによって得たデータを今後のマーケティング活動にしっかりと活かさないと分析を行った意味がありません。データを活用して、顧客グループごとにDMの内容や形態、オファーなどを変えてみましょう。たとえば、上顧客に対しては高額な商品を紹介してみる、休眠状態の顧客には再購入を促すためのプレゼントキャンペーンを仕掛けてみるなど、顧客層に合わせたDMを展開することが考えられます。
顧客分析後のDM反響率の分析も忘れずに
それぞれの顧客層に合わせたDMを送付したら、そこでゴールと安心してはいけません。そのDMの反響率などの分析もきちんと行いましょう。反響率とはDMに対するレスポンスがどれくらいあったかということです。レスポンスとは、不動産であればオープンハウスの申し込みやアンケートへの回答、化粧品や健康食品であればサンプルやお試し商品の注文など、DMを見たことによって起きたアクションを指します。
DMの効果測定指標と計算方法についてはこちらの記事をご覧ください。
DMの効果を正しく測定するためには、顧客がどのDMを見てアクションを起こしたのかを知ることが重要です。そのためには、DM別に申し込み番号を変えたり、専用のQRコードをつけたりするなどの工夫が必要になってきます。
DMの効果を測定する方法についてはこちらの記事をご覧ください。
顧客分析のデータを活かして作成・発送したDMが、結局成功だったのか失敗だったのか、気になりますよね。成否を判断する基準としては「限界CPO」という指標が多く使われます。「限界CPO」とは広告物の費用対効果をはかる指標のことです。
DMの成功と失敗の基準についてはこちらの記事をご覧ください。
おわりに
多種多様なサービスや商品があふれている今、「商品やサービスがよければ顧客が向こうからやってくる」などということは、なかなかありません。顧客が求めていることや喜びそうなことを的確に分析し、より効果的なマーケティングのために役立ててください。
教えて!DM先生 編集部
最新記事 by 教えて!DM先生 編集部 (全て見る)
- 【2025年(令和七年/巳年)版】ビジネス年賀状の書き方・マナー・例文を紹介! - 2023年9月1日
- メディアミックスとは?基本的な戦略とクロスメディアとの違い - 2023年8月24日
- 【例文・デザイン例あり!】通信販売(EC)業界での効果的なDM作成方法 - 2023年8月3日