抑えておきたい校正用語と記号
2021.11.22 2019.01.21印刷・デザイン「校正」という言葉はご存知のかたも多いと思いますが、どのような作業を行うかイメージできますか?具体的には、印刷物を制作する過程で、試し刷りをした紙と元々の原稿を見比べ、問題点がないかを確認する作業のことを指します。
この記事では、校正作業に必要な校正用語・記号や基本ルールをご紹介します。
適切な校正を行うことで、印刷後に誤字・脱字が発覚するトラブルを防ぐことができます。校正は、チラシなどの印刷物を制作するときだけでなく、社内文書作成時にも使える技術です。ぜひ、この記事で校正の基本ルールを理解し、実務に役立ててください。
目次
校正の基本ルール
基本的に、校正は以下のルールのもとで行います。
- 校正は、印刷・出力した紙に、赤ペンで行う
- 修正したい文字の上に修正指示を書くのではなく、周囲の余白に記す
- 修正指示は原則カタカナで記入する
- もとの文字が読めないくらいに塗りつぶさない
- ホワイト(修正液や修正テープ)で消すのはNG
校正の際に訂正や修正を記入するときに用いるのが「校正記号」とよばれるものです。この具体的な書き方や使用例は、後述します。
スムーズな校正のためにルール化しておきたいこと
校正を何度も繰り返しがちな項目については、あらかじめ社内でルール化するなどして準備しておくことで、校正の手間を省くことができます。例えば以下のような項目は、原稿作成中にばらつきがあることが多いので、ルール化することをおすすめします。
- 漢字の閉じ開き(漢字にするか、ひらがなにするか。「致します↔いたします」など)
- 英数字の半角・全角
- 漢数字の有無
- 常用漢字外の使用
よく利用する校正用語
校正の際に使う用語を説明します。
カンプ(出力)刷り
「カンプ(出力)」とは、校正を行うための試し刷りのことです。カンプと原稿を見比べながら作業を行います。校正刷りとも言います。
初稿
初稿とは、最初の原稿のこと。次に説明する「初校」とは全く違う意味があります。
初校
一回目のカンプのことを指します。初校の修正を行った2回目のカンプを「再校(二校)」といい、それに次ぐ3回目のカンプを「三校」といいます。それ以上の回数を重ねることもありますが、基本は三校までです。
素読み
素読み(すよみ)とは、カンプだけを見て、言葉や流れ、句読点の位置がおかしくないかを確認することです。原稿の意味や内容を考えずに読むのがポイントです。
突き合わせ
突き合わせ(付け合わせともいいます)とは、原稿とカンプを一文字ずつ組み合わせて校正を行う方法です。
読み合わせ
校正者が二人一組となって、一人が原稿を読み上げ、もう一人がチェックすることです。最終チェックとして行われます。
朱書き
校正によってミスが発覚した場合は、赤ペンで修正指示を書き込みます。赤字、朱字(あかじ)とも言います。朱書きに従って修正を行い、再校、三校と校正を繰り返します。
校了
校正が終了したことを「校了」といいます。
責了
責任校了のことで、「あなたの責任で校了してください」という意味で用いられます。依頼主に校正提出して確認してもらうのではなく、訂正者の自己責任で確認し、校了します。簡単な文字修正のときなどに使われます。
校正記号と書き方
ここからは、よく使われる校正記号とその書き方についてご紹介します。ぜひ、普段の業務から使ってみてください。
誤字の修正
誤字を見つけた場合は、対象の文字を斜線で上書きするか丸で囲み、そこから線を引き出して正しい字を記入します。引き出し線は、長すぎないように、交差しないように気をつけましょう。
修正指示の取り消し
文字の修正指示を取り消したいときには、もとの位置の近くに「イキ」と書き、修正内容を斜線で上書きします。
文字の削除
文字を削除したいときは、文字の修正指示と同じように場所を指定し、「トル」と書き込みます。削除したあと、文字を詰めずに空白にしておきたい場合は、「トルアキ(トルママ)」と記入します。
文字の挿入
文字や句読点を挿入する際は、挿入する位置に「y」のように記入して、余白に文字を書き込みます。句読点の挿入の際も、分かりやすいように「∧」を付けて書き込みます。
記号の場合は紛らわしいので、中黒(・)は□、コロン(:)は○で囲みます。その他にも、紛らわしいもの(ハイフン、ダッシュ、マイナス、オンビキ)については、カタカナで記して丸で囲みます。
直音と小書き仮名の修正
つ、や、ゆ、よなどを小書き仮名(っ、ゃ、ゅ、ょ)に修正するには、「∧(横書きのとき)」「<(縦書きのとき)」を使います。逆に、小書き仮名からもとに戻すには「∨(横書きのとき)」「>(縦書きのとき)」を使います。
添え字(上付き文字、下付き文字)の修正は、以下のように記します。分かりづらい際は、丸囲みで大きく添え書きしてあげると親切です。
文字の入れ替え
入れ替える際は、S字を書くように該当の文字を指定します。場所が離れている場合は、○で囲んで指示します。
改行
段落改行をするとき(行を変えて、さらに段落の始まりを字下がりする)、単に行を変えるときは以下のように記します。
改行を取りやめるときの校正記号は、以下のとおりです。
字間の調整
文字の間や行間を調整するときには、一文字の大きさを基準に考えます。字間を開けたいときには、その空き量によって一文字分は全角、1/2文字分は二分、1/3文字分は三分、1/4文字分は四分と書きます。
逆に、字間や行間がない状態に戻したいときには、「ベタ」と書きます。詰めすぎた文字をベタに戻したいときには、「ベタニモドス」とします。
フォントの指定
フォントや書体を指定する際には、該当箇所を指示し、変更する書体を書いて丸で囲みます。明朝体であれば「明」、ゴシック体は「ゴ」「ゴチ」、斜体は「イタ」、太字は「ボールド」という具合です。
大文字小文字の変更
該当箇所を指定し、大文字にしたいときは丸で囲んだ「大」、小文字にしたいときは丸で囲んだ「小」を書き添えます。
大文字にしたいときは、該当する文字の下に三本線を引いてもいいです。小文字にしたいときは、「ℓ.c.」と書き添える方法もあります。ただ、先述の方法のほうが分かりやすいと思います。
ふりがな(ルビ)の調整
ふりがなを付けるときには、以下のように指示します。ふりがなが2文字以上にわたるときには、それぞれの文字の割り当てが分かるように注意しましょう。
また、ルビの内容を修正するときには、通常の文字修正と同じく、斜線(もしくは丸囲み)から引き出し線を引いて、修正内容を伝えます。
おわりに
本格的な校正には、さらにたくさんの記号が存在しますが、今回はよく使う記号や用語に絞ってお伝えしました。チラシやパンフレットなどのデザインを行うときだけでなく、社内文書を作成するときにも使える知識です。
カンプを使って校正することで、パソコンの画面だけでチェックするよりも正確に内容を確認することができます。その作業を行う上で、今回ご紹介した校正用語や校正の知識は大いに役に立つはずです。
印刷工程で後悔せずに済むように、しっかりと校正しましょう。
教えて!DM先生 編集部
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