オンデマンド印刷とオフセット印刷の違い

2021.11.22 2018.12.25印刷・デザイン
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DMのデザインが完成し、いざ印刷というとき印刷会社から「オンデマンド印刷とオフセット印刷、どちらにしますか?」と尋ねられたことはありませんか?

ひと昔前まで印刷といえばオフセット印刷が主流でしたが、ここ10年ほどでオンデマンド印刷が普及してきました。

「そもそも両者の違いがよくわからない」「安く上がるのはどっちだろう?」「仕上がりがきれいなのはどっち?」などの疑問をお持ちの方に、オンデマンド印刷とオフセット印刷の違いについてご説明します。

オンデマンド印刷とは?

オンデマンド印刷とは「on demand=要求があったときにサービスを提供する」印刷方法のことで、必要なものを必要なときに必要な部数だけ印刷できます。

デザインデータをパソコンから直接プリンターに送るため、従来の印刷方法では必要だった「版」がいらない点が特徴といえます。家のパソコンでデータを作成して、家庭用プリンターで出力するイメージです。

高密度のトナーによるレーザープリンターを用いて印刷します。印刷機はオフセットに比べ小さく、大きなものでも4〜5m、高さも2m以下です。

オフセット印刷とは?

オフセット印刷とは、パソコンで作成したデータから版をつくって印刷する従来からの方法で、商業印刷の主流となっています。版とは簡単にいうとスタンプのようなもので、これを一度つくっておけば、あとはインクをつけるだけで同じものを大量に印刷できます。

C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(キープレートまたはブラック)、特色のインクを用いて印刷するため、クオリティの高い仕上がりが期待できます。大量に印刷を行うため印刷機のサイズも大きく、大きなものでは20m以上、高さ3mくらいになります。

オンデマンド印刷のメリットとデメリットとは?

オンデマンド印刷のメリット

オンデマンド印刷の一番のメリットはスピード感です。版をつくる工程がないので、その分短い期間で印刷できます。

また、従来の印刷では高額となっていた100部や200部といった小ロットの印刷もコストを抑えることが可能です。必要なときに必要な分だけ印刷できるので、印刷物の在庫を抱える必要がない点もメリットのひとつです。

オンデマンド印刷のデメリット

オンデマンド印刷のデメリットとしては、気温などの影響を受けやすく色が安定しにくいことや、広い面積のベタ・アミカケ・グラデーションなどのムラが出やすいことが挙げられます。

また、特色、金銀、蛍光色での印刷ができない、ズレが生じやすいため緻密なデザインは不得意、細かい字がにじみやすい、トナーを使用しているため摩擦や折り曲げに弱い、印刷位置が若干ずれやすいなど、主にクオリティ面でいくつかのデメリットがあります。使用できる用紙にも制限があり、サイズはA3程度までです。

また、小ロットなら割安に印刷できますが、大量印刷では単価が高くなってしまいます。

オフセット印刷のメリットとデメリットとは?

オフセット印刷のメリット

オフセット印刷の一番のメリットはクオリティの高さです。特色が使えるので微妙な色合いにこだわることができ、版を使うことでインクが紙にしっかり密着し、イラストや写真、文字の輪郭など、細かいところまで鮮明に表現することができます。

一度版をつくれば繰り返し使用できるため、同じクオリティの印刷物を何度も印刷できます。一般的にオンデマンド印刷と比べて費用がかかるといわれていますが、大ロットの印刷であればコストを抑えることも可能です。

オフセット印刷のデメリット

オフセット印刷のデメリットとしては、版をつくる時間とインクを乾燥させる時間が必要になるため、仕上がりまで時間がかかってしまう点が挙げられます。オフセット印刷を利用したいときは、スケジュールに余裕を持たせておくことが必要になってきます。

また、小ロットの印刷の場合はコストが割高になることは避けられません。

オンデマンド印刷の流れとは?

1 データ入稿

印刷会社にデザインデータが渡されます。

2 データチェック

データに間違いはないかなどをチェックします。
版をつくらないので、修正があった場合でもデータの差し替えがスムーズです。

3 印刷

データをそのままプリンターで印刷します。オンデマンド印刷ではインクではなくトナーを使用します。トナーは粉状なので印刷後に乾かす時間がかからず、スピーディーに納品されます。

オフセット印刷の流れとは?

1 データ入稿

印刷会社にデザインデータが渡されます。

2 データチェック、印刷データ変換作業

希望通り印刷できるか、データに間違いはないかをチェック。Officeデータの場合はPDFファイルに変換して作業を行います。

3 製版・刷版作業

印刷するための版を作成します。版は使用する色の数だけ必要です。製版の方法としては製版フィルムを使用する方法とCTPを使用する方法の2通りがあります。以前は製版フィルムを使用する方法が主流でしたが、現在はCTPを使用することが多いようです。

CTPとはComputer To Plateの略で、コンピュータからプレートセッターという製版機器を通して直接刷版を作成します。フィルムを使うよりも時間とコストを節約でき、高精度の版をつくることができます。

4 印刷

ローラーにインクをつけ直接用紙に印刷するのではなく、一旦ブランケット胴に転写(off)して、その後ブランケット胴から紙に転写(set)します。印刷が完了したらインクをしっかりと乾かしてから納品されます。

オンデマンド印刷に向いている印刷・向いていない印刷とは?

オンデマンド印刷に向いているもの

印刷部数が少ない、納期が短い、コストを抑えたいもの

例えば以下のようなモノが当てはまります。

  • 地域別に内容を変えたいチラシ(1,000部程度)
  • テストマーケティング用の商品パンフレット(300部程度)
  • 飲食店のメニュー
  • 会員限定の会報誌
  • 部数が限られるノベルティ
  • 急に決まったイベントの告知チラシ
  • 数百枚単位の暑中見舞いや年賀状

オンデマンド印刷に向いていないもの

広範囲のベタや淡い色調のもの、小さな文字や細い罫線を使ったもの、色やデザインに特にこだわりたいもの、大量に印刷したいもの

オフセット印刷に向いている印刷・向いていない印刷とは?

オフセット印刷に向いているもの

印刷部数が多いもの、写真や文字などを美しく印刷したいもの

例えば以下のようなモノが当てはまります。

  • 広範囲に届けたいチラシ(5,000部程度)
  • 主力商品のパンフレット(3,000部程度)
  • 大判のポスター
  • 大量の名刺やハガキ
  • 色数の多いチラシやパンフレット

オフセット印刷に向いていないもの

印刷部数が少ないもの、納期が短いもの、コストをかけたくないもの

おわりに

オンデマンド印刷とオフセット印刷の違いについてご説明しました。

納期の短さや安さにこだわる小ロットのDMならオンデマンド印刷、クオリティにこだわる大ロットのDMならオフセット印刷を選ぶのがおすすめです。

とはいえ、オンデマンド印刷の技術は年々進化し、オフセット印刷とのクオリティの差は徐々に縮まってきているようです。将来、安価で早く、クオリティも高いオンデマンド印刷が実現すれば、そちらが主流になるかもしれません。

タグ : 印刷
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教えて!DM先生 編集部

ディーエムソリューションズ㈱のダイレクトメール・物流のエキスパートメンバーで結成。法人取引14,400社以上の実績にもとづいた、DMの反響アップ、コスト削減、業務改善などに役立つ情報を続々発信していきます。