ビジネス文書で使うハガキの書き方、例文、マナー
2024.10.10 2022.11.15ダイレクトメール営業活動のフォローや取引各社へのお知らせ、お世話になった方へのお礼状など、ビジネスのさまざまなシーンで活用されているツールがハガキです。
電話やメール、FAXに較べると時間も手間もかかりますが、その分、丁寧な印象を与えることができ、好感度は抜群。先方の紙や機材を使わずに届けられるので、相手に負担をかけないというメリットもあります。
この記事では、ビジネスでハガキを送る際の宛名の書き方からマナー、正しい敬語の使い方、そして例文まで、まるごと紹介いたします。ぜひお気に入りに登録したり印刷したりして、いつでも参考にしてください。
目次
ハガキの宛名面の書き方例
まずは宛名面の書き方について紹介します。
会社の住所
- 郵便番号の一文字分(約1cm)下から書きはじめます
- 都道府県から書き、番地などの数字は原則として漢数字を使います
- 「一三」などの読みづらい数字は、「十三」と書きましょう
- 1行で収まらない場合は、キリのいいところで改行してもかまいません
- ビル名や階数も略さず書きます
会社名・部署名
- 住所と同じ高さか、少し下げた位置から書きはじめます
- 「株式会社」は「(株)」などと省略しないで書くのがマナーです
- 所属部署名は上の例のように改行するか、下のように会社名の下に一文字分空けて書きます
宛名
- 宛名は中央に、住所と会社名より大きな文字で書きます
- 横書きの場合は、住所・会社名・宛名全体が上下中央にくるように書きます
- 役職は宛名の上に小さく記入するのが基本ですが、長い場合は下のように宛名の右横に、2つある場合は行を分けて書きます
差出人の住所
- 基本的に宛先と同じ表記ルールに則って書きます
- 通信面(裏面)に記入する場合は、省略してもかまいません
宛名につける敬称
様 | 個人につける敬称です。宛名に役職や職名をつける場合は、「営業課長 小山 皓太 様」のように使います |
---|---|
殿 | 個人につける敬称です。最近はあまり使われませんが、名前がわからない管理職宛てに出す場合に、「営業課長殿」とする場合があります |
先生 | 医師、教員、講師、弁護士、政治家などの敬称に使います |
御中 | 団体宛、部署宛の敬称です。「営業課御中」「ダイレクトメール事業部御中」のように使います |
各位 | 「…の皆様へ」という意味です。「各位」だけの場合もありますが、「委員各位」「お取引先各位」のようにも使います |
ハガキの通信面の書き方例
続いて、通信面(裏面)の書き方を紹介します。
頭語と結語のルール
文書の種類
|
頭語
|
結語
|
---|---|---|
一般的な文書 | 拝啓 拝呈 | 敬具 敬白 拝具 |
かしこまった文書 (祝い状・礼状・詫び状など) |
謹啓 謹呈 謹白 | 敬具 敬白 謹言 |
急ぎの文書 (見舞状など) |
前略 冠省(かんしょう) | 草々 不一(ふいつ、ふいち) |
返信の文書 | 拝復 拝答 復啓 | 敬具 敬白 |
頭語は手紙の冒頭で相手に敬意を表す言葉、結語は頭語に対応した締めくくりの言葉です。組み合わせが決まっているので注意が必要です。
頭語の意味は次の通りです。
拝啓 謹啓 | 謹んで申し上げます |
---|---|
拝呈 | 謹んでお送りします |
前略 冠省 | 挨拶を省きます |
不一 | 十分意をつくせていませんが |
頭語・敬語は必ずつけないといけないわけではありません。目上の人に出す手紙や定型的なビジネス文書には必須ですが、顔なじみの担当者宛てや、一般の顧客に親しみのある手紙を出したいときなどは省略してもかまいません。
時候(季節)の挨拶の使い分けと一覧
月
|
漢語調の表現
|
口語調の表現
|
---|---|---|
通年 |
時下
|
|
1月 | 新春の候 厳寒の候 | 早いものでいつしか松の内も明け 厳しい寒さが続きますが |
2月 | 立春の候 晩冬の候 | 底冷えの残る毎日ではございますが 寒さまだ厳しい折から |
3月 | 早春の候 春分の候 | 花のつぼみもほころぶ季節となりましたが 一雨ごとに暖かくなってまいりましたが |
4月 | 陽春の候 桜花の候 | 桜花満開の好季節となりましたが 花便りが各地から届く今日この頃 |
5月 | 新緑の候 若葉の候 | 若葉のまぶしい季節になりましたが 五月晴れの好季節となりましたが |
6月 | 入梅の候 梅雨の候 | うっとうしい梅雨空の季節となりましたが 衣替えの季節となりましたが |
7月 | 盛夏の候 大暑の候 | 暑中お見舞い申し上げます いよいよ夏の到来を迎え |
8月 | 炎暑の候 残暑の候 | 日中の暑さはなお厳しい毎日ですが 残暑厳しい折から |
9月 | 初秋の候 涼月の候 | 秋風が快い季節となりましたが 野山も秋色を帯びてまいりましたが |
10月 | 紅葉の候 秋晴の候 | 秋の深まりを感じる季節となりました 秋晴れの心地よい季節となりましたが |
11月 | 晩秋の候 落葉の候 | 朝夕冷え込んでまいりましたが 菊薫る季節となりましたが |
12月 | 師走の候 寒冷の候入 | 今年も残すところわずかになってまいりましたが 歳末何かと多端の折柄 |
頭語に続けて書くのが時候(季節)の挨拶です。法人同士の定型的な文書では通年で「時下」を使うことが多くなっていますが、月にあわせた挨拶を入れることによって、より丁寧さが伝わります。ただし、相手方とのやりとりが発生する文書(見積書、請求書、領収書など)では省略するのが一般的です。
かしこまった文書で使われるのは漢語調の「…の候」ですが、お礼状など個人宛ての場合は、少しくだけた口語調の挨拶のほうがあたたかみのある文面になります。
先方の繁栄や健勝を祝う言葉
季節の挨拶の後に入れるビジネス文書特有の慣用文です。宛先が会社・組織と個人によって使う言葉も異なりますので気をつけましょう。
会社や組織宛て
例えば、上記を利用した場合、以下のようになります。
「貴社、益々ご清栄のこととお喜び申し上げます」
「ご清栄」とは健康で繁栄しているという意味です。「ご盛業」や「ご繁栄」という言葉がなじまない医療機関や非営利団体に対しても使うことができます。
個人宛て
例えば、上記を利用した場合、以下のようになります。
「貴殿におかれましては、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。」
日頃の感謝を伝える言葉
例えば、上記を利用した場合、以下のようになります。
「日頃は、格別のご厚情を賜りまして、誠にありがとうございます。」
ちなみに、「ご厚情」「ご高配」「ご芳情」は一般的な「お世話になっている」という意味で使い、一般消費者向けには「ご愛顧」、取引先宛てには「お引き立て」、公的機関や非営利団体などからの文書には「ご協力」が使われます。
また、相手を祝うことが目的のお祝い状や、本文でお礼を述べるお礼状には、前文で日頃の感謝を伝える言葉は入れません。
その他、普段お付き合いがない相手や初めての方への文書には、ご無沙汰のお詫びや突然の連絡のお詫びを入れるといいでしょう。
ご無沙汰のお詫び
例えば、上記を利用した場合、以下のようになります。
「日頃は心ならずもご無沙汰いたしまして誠に申し訳ございません。」
突然の連絡のお詫び
突然の連絡のお詫びにはバリエーションはありません。次の2つの表現が一般的です。
「突然のお便りで失礼いたします」
「突然お手紙を差し上げます失礼をご容赦ください」
結びの挨拶や末文
例えば、上記を利用した場合、以下のようになります。
「とり急ぎ、お礼まで。」
その他にも次のような結びの挨拶が使われます。
「まずは略儀ながら書面にてご案内申し上げます。」
「今後とも、よろしくお願い申し上げます。」
「ますますのお引き立てをよろしくお願い申し上げます。」
「ご自愛のほどお祈り申し上げます。」
「末筆ながら、皆様のご健康をお祈り申し上げます。」
「貴意おうかがい申し上げます。」
「では、ご返事をお待ち申し上げます。」
ビジネス文書でよく使う敬語表現
社外向けのビジネス文書を書く際に一番気を遣うのが、敬語の使い方ではないでしょうか。確かにあまりに間違いが多いと会社の信用にかかわる場合もあります。
とはいえ使う言葉はある程度決まっているので、基本さえマスターすればOKです。自分のことを言う場合は謙譲語。相手のことを言う場合は尊敬語。それに加えて下の説明も参考にしていただければ、大きく間違うことはないでしょう。
動詞の敬語
意味
|
尊敬語
|
謙譲語
|
---|---|---|
行く | いらっしゃる、お越しになる、お出かけになる | 参る、うかがう |
合う | お会いになる | お目にかかる |
見る | ご覧になる | 拝見する、見せていただく |
聞く | 聞かれる、お聞きになる、お聞きくださる | うかがう、拝聴する、聞かせていただく |
食べる | 召し上がる、お食べになる | いただく、頂戴する |
言う | おっしゃる、お話しになる、言われる | 申す、申し上げる |
いる | いらっしゃる、おいでになる | おる、おります |
思う | お思いになる、おぼしめす、思われる | 存じる、存じ上げる |
もらう | お受け取りになる | 頂戴する、たまわる、いただく |
知る | ご存じ | 存じ上げる |
する | なさる、される | いたす |
わかる | おわかりになる、ご理解 | 承知する、かしこまる |
帰る | お帰りになる、帰られる | 失礼する、おいとまする |
伝言する | おことづけになる | 申し伝える |
名詞の敬語
対象
|
相手方の呼び方(尊称)
|
自分型の呼び方(卑称)
|
---|---|---|
会社 | 貴社、御社(おもに口語) | 弊社、当社、小社、私ども |
店 | 貴店、貴商会、御紹介 | 弊店、読点、小舗、当紹介 |
銀行 | 貴行、御行 | 当行、弊行 |
団体 | 貴会、貴協会、貴財団、貴研究所 | 当会、本会、当財団、当機構 |
学校 | 貴校、御校、貴学 | 当校、本校、本学 |
贈り物 | お心づくし、結構な品、ご厚意の品 | 粗品、心ばかりの品、気持ちばかりの品 |
手紙 | お手紙、お便り、貴信、ご書面 | 手紙、書面、書状、弊信 |
返事 | お答え、お返事、ご返事、ご回答 | 答え、回答、返事、返信 |
意見 | お考え、ご意見、ご高説、貴意 | 考え、私意、私見、所見、愚見 |
思いやり | お心遣い、ご厚志、ご厚情、ご芳志 | 気持ち、私意、微意 |
受領 | ご受領、ご査収、お納め | 拝受、受領、受納 |
訪問 | ご来訪、ご来社、ご来店、お越し | おうかがい、ご訪問、おたずね、参上 |
間違いやすい二重敬語
✕ 二重敬語
|
◯ 正しい敬語
|
二重敬語にあたる言葉
|
---|---|---|
おっしゃられる | おっしゃる | 「おっしゃる」と「られる」 |
お越しになられる | お越しになる | 「お越し」と「なられる」 |
ご覧になられる | ご覧になる | 「ご覧に」と「なられる」 |
お読みになられる | 読まれる、お読みになる | 「お読み」と「なられる」 |
お聞きになられる | お聞きになる | 「お聞きに」と「なられる」 |
ご注文になられる | ご注文になる、注文される | 「ご注文」と「なられる」 |
拝読申し上げます | 拝読いたします | 「拝読」と「申し上げます」 |
拝見させていただきました | 拝見しました | 「拝見」と「させていただき」 |
二重敬語とは、ひとつの言葉に二重に敬語を用いたものをいいます。「丁寧に、丁寧に」と思うあまりつい使ってしまいがちですが、誤りなので注意してください。
ただし、次のように慣用的な表現として許容されている二重敬語もあります。
「お召し上がりになる」
「おうかがいする」
テンプレートに使えるビジネスハガキの例文
ビジネスで活用頻度の高いハガキの例文を紹介します。見本やテンプレートとして活用してください。
営業のフォローハガキの例文
先日はお忙しいところ、お時間を頂戴し、誠にありがとうございました。当社のマーケティングオートメーションシステム「ポパイ」の導入についてのご検討は、進めていただいておりますでしょうか。
当システムの導入は、貴社の業務効率の飛躍的な向上と、広告コストの大幅な削減に結びつくものと確信いたします。
ご不明な点等がございましたら、お気軽にご連絡ください。何度でも足を運び、ご説明させていただく所存です。
ぜひ前向きなご検討をよろしくお願いいたします。では、ご返答をお待ち申し上げます。
お中元の送り状ハガキの例文
平素は、ひとかたならぬお引き立てを賜り、心より感謝致します。
つきましては、本日、お中元のしるしとして、心ばかりの品をお送り致しました。お納めいただけましたら、幸いでございます。
今後とも、倍旧のご厚情を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
お歳暮へのお礼状ハガキの例文
このたびは、たいへん結構な品をお送りいただきまして、誠にありがとうございました。心より感謝申し上げます。
来年も、新プロジェクトの完成を目指し邁進してまいりますので、ご指導ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
末筆になりましたが、貴社のますますのご発展と、皆様のご健康をお祈り申し上げます。
名刺交換のお礼状ハガキの例文
先日は「オウンドメディア活用セミナー」にて、お名刺をいただき、ありがとうございました。
ほんの立ち話でしたが、お目にかかれて光栄でした。
これをよきご縁に、今後ともよろしくお願い申し上げます。
短い時間でしたが、○○様のDMとデジタルを併用したマーケティング戦略についてのお話には大変感銘いたしました。おかげさまで有意義な時間を過ごすことができました。
次回もまたお会いできたらうれしく存じます。今後ともよろしくお願いいたします。
取り急ぎ先日のお礼まで。
食事をご馳走になったお礼状ハガキの例文
次はぜひ当方で一席設けさせていただきますので、新商品のマーケティング施策についてのお話をお聞かせ願えればと存じます。
熱射病が流行っているようです。どうぞご自愛ください。
まずは御礼まで。
また、マネジメントについての滋味あふれるお話、ぜひとも今後の仕事に活かしていきたいと存じます。貴重なアドバイスをいただきまして、深く感謝いたします。
アメリカ出張前でお忙しいことと存じますが、無理をされませんようご自愛ください。
取り急ぎお礼のみ申し上げます。
往復ハガキの書き方例
式典やイベント、セミナーなどの出欠確認に使われる、往復ハガキを返信する際の書き方のマナーを紹介します。
返信用ハガキの宛名面の書き方
- 氏名の下の「行」を二重線で消し、「様」と手書きします
- 会社や担当部署に宛てて送る場合は「御中」と書きます
往復ハガキの出欠の返事の書き方
- 「御」「芳」など名前や住所の敬語部分は二重線で消します
- 出席、欠席のどちらかを〇で囲み、「させていただきます」「致します」と書き添えます
- 空きスペースに「皆様とお目にかかれますことを楽しみにしております」などのメッセージを書くと丁寧さが伝わります
- 欠席の場合は、「残念ですが、どうしても都合がつかず出席できません」「ご盛会をお折り致しております」のように理由を書きます
おわりに
以上、ビジネス文書で使うハガキの書き方やマナーについて紹介してきました。
そう言えば、たまに「ビジネスでは官製ハガキしか使っちゃいけないの?」という質問を受けることがありますが、そんなことはありません。もちろん相手や内容にもよりますが、デザインが豊富な市販のポストカードでも大丈夫です。
犬が好きな人には犬のイラストが入ったもの、ゴルフが趣味の人にはクラブやボールの絵柄が入ったものを送れば、距離がグッと縮まるはず。そのときどきの季節感あふれるデザインを選ぶのも素敵です。
例え形式的なやりとりであっても、「相手に喜んでもらいたい」という気持ちこそが、ビジネスでも一番大切なのだと思います。
教えて!DM先生 編集部
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