【例文・デザイン例あり】不動産DMの効果的な作成方法
2024.11.01 2019.02.18事例・効果測定「不動産のダイレクトメール(以下:DM)の反響がなかなか増えない」「コピーやデザインのアイデアが浮かばない」と悩んでいる方、または「これから初めて不動産DMを制作・実施する」という方のために、不動産DM成功に欠かせないテクニックとノウハウをまとめました。
アナログのDMはもともと不動産販売と非常に相性の良いツール。いまや業界ではWebマーケティングが一般的ですが、それだけでは十分な数のターゲットにリーチできませんし、商品の特性上、資料申し込みから成約までデジタルだけで完結させることは不可能です。顧客にじっくり検討してもらうためにも、やはり読みやすく、手元に置いておけるDMは欠かせません。
この記事ではキャッチコピーの例文、デザイン例といったクリエイティブ関連から発送方法、アイデア例にいたるまで、他社事例も交えながら紹介しています。ぜひ困ったときの参考書代わりにお役立てください。
目次
不動産DMを成功させるためのポイント
まずは不動産DMを成功させるために大切な、基本的なポイントを3つ紹介します。
わかりやすく伝える
DMは企業にとっては広告・販促物ですが、顧客にとっては情報源となるツールです。さまざまな物件を比較検討するために、長期間手元に置いておくこともあるでしょう。商品の特性上、どうしても情報量は多くなってしまいますが、競合他社と差をつけるためにも、文章やデザインのわかりやすさにこだわることが大切です。
信頼感・安心感を醸成する
不動産は一生のうちでも大きな買い物の一つ。費用だけでなく、手間もかかります。そのため、物件を決めるにあたっては企業に対する信頼感が大きな要素を占めます。DMでもセールス的な要素だけでなく、「お客様の声」などの信頼感を醸成するコンテンツを活用すると効果的です。
担当者や会社を好きになってもらう
通販などとは違い、不動産の場合は成約までのプロセスに必ずリアルな接客が入ってきます。そのため、事前にDMで担当者や会社のことを知ってもらい、好印象をもってもらうことで成約率のアップが期待できます。
不動産の見込み顧客、優良顧客、休眠顧客の区分例
反響の高いDMをつくるためにまず必要なのは、「ターゲットを知ること」です。ここでは不動産販売における見込み顧客・優良顧客・休眠顧客のペルソナ像と、それぞれに対する有効なアプローチを紹介します。
見込み顧客
ひと言で見込み顧客といっても、資料請求だけの顧客と見学会に参加した顧客では検討レベルが異なりますし、見学会に参加した顧客でも、興味本位の方と引っ越し時期が決まっている方では確度が大きく異なります。
そのため、すべての見込み顧客に対して同じ施策をおこなっていては効果は見込めません。DMにおいても検討レベルに応じてランク分けし、それぞれに最適なクリエイティブのDMを送ることが大切です。
優良顧客
不動産は、化粧品や健康食品のような「リピート商材」ではありません。購入までに多くの手間や資金がかかりますし、購入者の多くが「一生に一度の買い物」と考えています。しかし、だからといって購入後にまったくアプローチしないのは問題外です。顧客の年齢や環境の変化によって、次のような需要が生まれる可能性があるからです。
- 家族構成の変化による住み替え
- 経年劣化によるリフォーム
- 投資、相続関係
他にも、購入後も良好な関係性を構築することで、知り合いを紹介してもらえたり、Webのレビューで良い口コミが広がったりするかもしれません。「一度売って終わり」ではなく、「人生をともに歩むパートナー」のような立場で顧客と縁を続けていけると理想的です。
休眠顧客
資料請求や見学会、来店などで一度は接触があったものの、その後一定期間やりとりのない顧客を指します。
購入につながらなかったとはいえ、可能性がなくなったわけではありません。タイミングや、その時の物件が合わなかっただけかもしれませんし、たとえ他社物件を購入していたとしても、優良顧客同様、環境の変化によって新たな需要を喚起できるかもしれないからです。
ただし、普通のアプローチ方法ではなかなか効果は期待できません。DMにおいても、顧客に「もう一度話を聞いてみようかな」「相談してみようかな」と思ってもらえるようなクリエイティブにする必要があります。
続いて、それぞれの顧客区分に最適なDM制作のポイントを具体的に紹介していきます。
見込み顧客向けDMのポイントとコピー文
まずは見込み顧客向けDMに有効なキャッチコピーとビジュアル、ツール、発送方法について紹介します。
キャッチコピー・ビジュアルでターゲットを明確化
突然ですが質問です。もしもあなたが小さなお子様をお持ちのお父さんかお母さんだったとしたら、下の2つのうち、どちらのDMに惹かれるでしょうか?
おそらく全員の方が「B」と答えられるのではと思います。とはいえ、2つの違いはキャッチコピーとビジュアルの一部だけ。では一体なぜここまで反応に差がでるのでしょうか。その理由を具体的に説明していきましょう。
まずはキャッチコピーから。Aのキャッチコピーは、いわゆる「マンションポエム」的なイメージコピーですね。なんとなく文学的な薫りを漂わせてはいますが、逆にありきたりで、物件についての具体的なことも何も伝わってきません。
かたやBは「ド」が付くほどストレートなキャッチコピー。正直、カッコいいコピーではありませんが、子育てにぴったりな家を探している方はもちろん、とくに引っ越しを考えていないお父さん・お母さんでも「どんなマンションだろう?」と興味をそそられそうです。
そしてビジュアル。Aは物件(マンション)の写真しか載っていません。これでは、よほどその外観に惹かれないかぎり、DMを読んでみようとは思ってもらえません。
一方のBには若い両親と小さな子供、つまりターゲットに近い年齢層の家族の写真を掲載しているため、「自分に関係がある」と感じてもらえますし、商品であるマンションに自分が住んでいるイメージもわきやすくなります。簡単にいうと、「自分ごと化」してもらいやすいということですね。
つまり、DMの反響を上げるためには、キャッチコピー・ビジュアルともに「ターゲットを明確にする」必要があるということです。チラシやポスターをはじめとして、不動産の広告というとなぜかAのようなコピーやビジュアルが多い傾向にありますが、すでにブランドが確立されたエリアやマンションでないかぎり、あまり効果は見込めません。たくさんのDMの中から開封してもらい、読んでもらうためには、ターゲットが一目見て「私のことだ!」「私に関係のあることだ!」と感じるようなクリエイティブにすることが大切です。
効果的なキャッチコピーとしては、他にも次のようなものが考えられます。
見込み顧客向けDMキャッチコピー例文
小学生のお子様をお持ちの30代のお父様・お母様へ |
ご存知ですか? 月々〇万円台で××駅徒歩△分の新築が手に入ることを |
新婚のご夫婦様に3LDKをオススメする理由 |
「新築なんて買えるわけがない」とお考えのあなたへ。提案があります。 |
「お客様の声ツール」で信頼感を醸成
DMとしても、資料請求の資料の同封物として効果的なのが「お客様の声ツール」です。お客様の声はいわば第三者の評価。物件選びにあたって不動産会社の信頼性は大きな要素を占めますが、それを信ぴょう性をもって伝えることができます。
クリエイティブのポイントは、お客様の声に対して、実際に担当したスタッフのコメントを載せること。顧客に対する親身な姿勢が伝わり、会社への安心感につながります。
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確度の高い潜在顧客にアプローチする方法
プッシュ型の見込み顧客獲得施策として一般的なのは折込チラシですが、より確度の高い潜在顧客にアプローチできる手法があります。それが、顧客リストがなくてもDMを送ることができる「地域指定配達便」。
具体的には日本郵便が運営している「タウンメール」「タウンメールプラス」、ヤマト運輸が運営している「クロネコエリア便」を指します。大きなメリットは次の3つ。
- 新聞未購読世帯にアプローチできる
- ポスティング不可のマンション居住世帯にアプローチできる
- 町丁目単位、住民属性でエリアセグメントできる
数年前から新聞の部数減少が話題になっていますが、地域指定配達便なら新聞を購読していない世帯、すなわち折込チラシではリーチできない世帯にもアプローチが可能です。また、運営企業の配達員が配達するため、ポスティングできないタワーマンションや高級マンション世帯にも届けることができます。
しかしなんといっても魅力的なのはエリアセグメントの精度。町丁目単位で細かく指定できるだけでなく、年齢や収入、住居形態、家族構成などの住民属性データに基づいて選ぶことができます。つまり、「高所得世帯に絞って」とか、「マンションに住むファミリー世帯に絞って」というような配布が可能になるというわけです。
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優良顧客向けDMのポイント
先述の通り、不動産はリピートのサイクルが数年、十数年におよぶことのあるため、長期間にわたって顧客との関係を維持していく必要があります。ここではその間の顧客維持に役立つDMツール、そして効果的なキャンペーンDMを紹介します。
情報紙(ニュースペーパー)で関係性を深める
バースデーメッセージや年賀状、暑中・寒中見舞いの挨拶とともに、顧客維持に有効なツールが情報紙(ニュースペーパー)です。
目的はあくまで関係性の構築・維持なので、営業要素は不要(どうしても伝えたいことがある場合は別刷りのチラシで伝えます)。顧客の生活に役に立つ情報、会社や社員にまつわるニュースが効果的です。たとえば次のようなコンテンツも良いでしょう。
- DIYリフォームテクニック
- わが家のこども部屋紹介
- こだわりの趣味部屋紹介
- 季節の健康、美容情報
- お料理レシピ
- 成約者様のお声
- 社員紹介、社内イベントレポート
他にもお客様のイラストや川柳を紹介するなど、紙面を通じてのコミュニケーションが活性化するとベストです。とはいえ、最初から理想を追い求め過ぎると続かなくなるので要注意。体裁も簡素なものでOKです。大手のなかには雑誌のような情報紙を発行しているところもありますが、A4ペラ1枚でも問題ありません。それよりも、顧客と関係を築こうという会社の姿勢を伝えるほうが大切です。
もちろんこの情報紙は、見込み顧客や休眠顧客に送るのも効果的。制作に少々手間はかかりますが、作っておいて決して損はしないツールです。
「ご紹介キャンペーンDM」で紹介を促進
一度購入した顧客に効果的なキャンペーンDMが、「ご紹介キャンペーンDM」です。
「ご紹介キャンペーン」を成功させるポイントは次の3つ。
- 紹介する方、紹介される方の双方にメリット(特典)を設ける
- 紹介する方のメリット(特典)を豪華にしない
- 条件を「成約」だけにせず、ステップを設けて参加のハードルを下げる
キャンペーンを実施する上で忘れてはいけないのは、紹介する方(購入者)と紹介される方は、通常親しい間柄であるということです。にもかかわらず、紹介する方の特典のほうが豪華なキャンペーンを見かけることがあります。しかしそれでは、たとえ紹介したくなっても、相手に自分の利益のためだと思われたくなくて、二の足を踏んでしまうのが心情ではないでしょうか。
また、紹介の条件が「成約」のみであることも、参加を踏みとどまらせてしまう要因になります。例のチラシのように「店舗来店」「見学会来場」→「成約」というステップを設けたり、成約ではなく「来店3回」「下見3回」などにハードルを下げたりする工夫も必要です。
休眠顧客向けDMのポイント
休眠掘り起こしでは、あまりにも売り込み要素の強いDMは逆効果。顧客によっては、「知らない会社から売り込みのDMが届いた」と思われる可能性もあります。
それよりも大切なのは、まずは会社や担当者を思い出してもらうこと。とくに、過去来店や物件案内などで、ある程度関係性を構築した休眠顧客にオススメなのが次のような私信風のレターDMです。
One to Oneの私信風レターDMで思い出してもらう
下のイラストは、シニア層の休眠顧客に定年後の住み替えを提案するDM例です。
私信風レターDMのポイントは次の3つ。
- 普通封筒を使い、差出人に担当者名を明記する
- 封筒とレターの文字は手書きがベスト
- レターは「ご縁のお礼」「近況伺い」→「興味喚起」の流れで書く
コンセプトはOne to One。企業感・営業感は極力抑えます。そのため封筒も社封筒やデザインされた封筒ではなく、普通の白封筒がベスト。宛名の文字もできれば手書きで、発送部数が多くて無理な場合は手書きフォントで代替します。とにかく個人から個人の私信のように見せて、開封率を高めるのが狙いです。
レターの文面も、いきなりの売り込みは厳禁です。まずは過去のご縁の感謝から入り、思い出してもらうことからはじめます。その上で、「環境の変化によるお悩みはありませんか?」「約3人に1人の方が定年後に住み替えをご検討されています」「住み替えするなら、定年後より定年前のほうがお得です」といったように興味を喚起していきます。売り文句や具体的な物件説明はチラシに譲り、寄り添うような文章を書くことがコツです。
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インパクト抜群!クリエイティブアイデア例
いつも同じクリエイティブのDMばかり送っていると、顧客に飽きられてしまいます。ここぞ、というときにはインパクトのあるDMを使ってみるのも大切。そこで最後に、実際の他社事例をもとにDMクリエイティブのアイデア例を紹介します。
部屋が動画で見られる! AR(拡張現実)DM
いまやQRコードからのWeb誘導はすっかり一般的になっていますが、さらに一歩進んでいるのがこちらの例。AR(拡張現実)を活用し、動画で物件の魅力を伝えようというアイデアです。
見込み顧客にとっては下見でのミスマッチが減るというメリットはもちろんのこと、「平面の見取り図を立体的に見ることができて、しかも動く」というユニークな体験ができるのもポイントです。
口コミ効果も! 飛び出す絵本風DM
新築物件を購入した顧客に贈るDMです。飛び出す絵本のように、開封すると顧客が購入した新築物件が起ち上がるという仕組み。なんといっても「世界に一つだけ」のDMなので、顧客に対する特別感が伝わります。周囲の方への口コミ効果も期待できますね。
おわりに
以上、不動産販売DM成功のノウハウをさまざまな例を挙げながら紹介してきました。
とはいえ、あくまで例は例。他社が上手くいったからといって、必ずしも自社で成功するとはかぎりません。実際に自社で反響をアップさせるには、「自社の顧客に」響くDMを制作する必要があります。
もちろん一発でそのようなDMを作るのは不可能です。ときにはABテストを実施して、効果検証を重ねながら、徐々にクリエイティブの精度を上げていく必要もあります。ぜひ以下の記事も参考にして、御社の顧客にとって最適なDMを作ってください。
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