【事例つき】小学校・中学・高校・専門・大学DMの効果的な作成方法

2024.03.06 2019.05.27事例・効果測定
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「なかなか生徒数・出願数が増えない」「オープンキャンパスの参加者数が伸び悩んでいる」とお悩みの学校広報・マーケティング担当の方に向けて、来校促進と生徒獲得に効果的な学校(スクール)ダイレクトメールの企画・制作ノウハウをまとめました。

反響アップに欠かせないクリエイティブのコツはもちろん、他校事例を交えたアイデア案も紹介しています。事例は大学DMが中心ですが、小学校・中学校・高校から専門学校まで役立つヒントが満載。ぜひ、企画やコピー・デザインの参考として活用してください。 

学校DMで来校・出願数をアップさせるために必要な制作ポイント

校DMで来校・出願数をアップさせるために必要な制作ポイント<

出願から合格発表までインターネット化が進む学校業界。しかし、そんななかにあっても、読みやすく、保存性にもすぐれたDMは生徒募集に欠かせないツールです。ここでは反響の高い学校DMを制作するうえで欠かせないポイントを紹介します。

ターゲット心理を理解する

業界を問わず、DMを制作する上で一番大切なのがターゲット視点。つまり、ターゲットの心理を理解し、その心理に響くクリエイティブ(コピーやデザイン)をつくることです。

学校DMの場合、小学校~高校までは学生(受験生)本人だけでなく、保護者もターゲットに含まれます。それぞれのターゲットに訴求するクリエイティブには、次の要素が不可欠です。

ターゲット 必要な要素
保護者 学校の信頼性が感じられる要素
学生(受験生) 自分の将来像がイメージできる要素

多くの学校DMでは、保護者に向けたクリエイティブはクリアしているものの、実際に学校に通う生徒に対する訴求が弱い印象があります。続いて、その点について説明します。

〈具体的な将来像〉をイメージさせる

意識している・いないにかかわらず、DMを見る学生が一番知りたいことは、「その学校に入学すると、どんな良い未来が待っているか」「自分にどんな可能性が開けるか」ということです。ここで言う〈良い未来〉には、学校生活はもちろん、卒業後の進路も含まれます。

この〈良い未来〉のことをマーケティングでは〈ベネフィット〉(直訳すると「利益」)と呼び、これをクリエイティブを通じてターゲットにリアリティを持って伝えることが、広告・販促ツールの成功のキモと言われています。

学校DMおいても同様です。往々にして〈自校の特徴(強み)〉のアピールに終始しているDMを見かけますが、それだけでは生徒の心理(ニーズ)に応えるクリエイティブとは言えません。反響を上げるためには、その特徴をベネフィットに転換して、「どのような良い学生生活を送れるのか」「どのような良い進路に進めるのか」を具体的にイメージできるように伝える必要があります。

〈具体的な将来像〉をイメージさせるDMの例

ベネフィットの伝え方は在校生・卒業生の声や統計資料などさまざまですが、効果的に伝えるためには、デザインでワクワク感や期待感を演出することもポイントです。

学校DMの企画アイデア・デザイン例

DMは送ったからといって必ず目を通してもらえるとはかぎりません。たとえ資料請求者宛ての場合でも、〈読まれない〉という前提に立って、「どうしたら手に取ってもらえるか」というところから企画を考える必要があります。

まだまだ保守的なクリエイティブが多い学校DMですが、最近は個性的で〈攻めた〉デザインを制作する学校も増えてきていますよね。形状やデザインなど、見た目で一瞬にして差別化できるのは、リアルな〈モノ〉として届くDMならではの特徴。活かさない手はありません。ここでは他校の反響実績のある事例をもとに、硬軟織りまぜたクリエイティブ案を紹介します。

在校生から受験生への手書き手紙DM(専門学校DMの例)

在校生から受験生への手書き手紙DM(専門学校DMの例)

一見ふつうのレターDMですが、ポイントはレターの書き手。学校や代表者ではなく、在校生から受験生に向けて書かれています。B to C・B to Bというビジネス用語にならって言うなら、さしずめ〈C to C〉のツール。実際に関東の私大で実施して、オープンキャンパス参加者数をアップさせた事例もあります。

狙いは、〈人〉を通して学校の強みを伝え、〈親近感〉〈共感〉を醸成すること。企業マーケティングでいう〈ファンづくり〉に近い考え方と言えるでしょう。手紙で伝える内容は、その学校に決めた理由、入学して心から良かったと思えたエピソード、卒業後の夢・目標など。「自分もこうなりたい!」「こんな学生生活を送りたい!」と思ってもらえれば成功です。

文章は、広告コピーのようにきれいなものである必要ありません。リアルで、ときに赤裸々で、ダイレクトに語りかけるような口調のほうが受験生には響きます。字も多少下手でも手書きがベスト。広告にはないリアリティと、本当に本人が書いたという信ぴょう性が感じられるからです。コンセプトは〈One to oneの私信感〉。封筒も白の普通封筒など、広告臭のないシンプルなものが意外性もあって効果的です。

チラシ風デザインのDM(大学DMの例)

マグロで有名な関西の某私大、といえば、どの大学のことかおわかりでしょう。インパクトの強い広告でも注目を集めていますが、地元・関西の電車の吊り革広告やDMでよく見かけるのが、週刊誌広告を真似たクリエイティブ。「マグロ試食会実施!」「在校生によるキャンパスツアー!」といったオープンキャンパスのカリキュラムが、まるで政治家や芸能人のスキャンダルのように並べられていて、ついつい読んでしまいます。

これはある意味人間の下世話な心理を巧妙に利用した策略といえますが、こうした〈別のジャンルのクリエイティブに似せて注目度を上げる〉というやり方は、広告ではよく使われる手法です。そこで考えてみたのが、新聞でよく見かける折込チラシ風のオープンキャンパスDMです。

チラシ風デザインのDM(大学DMの例)

これは、そうです、元のクリエイティブはもろにユ〇クロさんのチラシですね。私がパワーポイントでポチポチ作っているあいだに例のメ〇カリさんのチラシが話題になり、完全に先を越された形になってしまいましたが……。でも、他にも不動産や車、おもちゃ屋のチラシなんかを真似てみても面白いかもしれません。

チラシ風DMのクリエイティブのポイントは、参加人数や満足度、イベント数など、アピールできる数字があればガンガンアピールすること。通常のDMで同じことをすると売り込み臭が強くなりすぎますが、この場合は元々売り込み目的のツールデザインを踏襲しているので、不自然さを与えず、受け入れられやすいというメリットがあります。

上の例は透明ビニール封筒に封入するA4チラシを想定したクリエイティブですが、ハガキDMの裏面に使っても良いでしょう(先の週刊誌広風DMもハガキで送っているようです)。ただ、インパクトを考えるとA4サイズ以上のハガキがベストかと思います。

雑誌風デザインの受験生向け広報誌(短期大学DMの例)

雑誌風デザインの受験生向け広報誌(短期大学DMの例)

女性ヤング層向けファッション雑誌風の専門学校広報誌です。考え方はチラシ風DMと同じですが、こちらの方がよりターゲットを意識したクリエイティブと言えるでしょう。

受験生向けの広報誌は、DMのみならず、合同説明会などでも配布するもの。必要な情報を漏れなく伝えることはもちろんですが、その前に、見た目で他大学と差別化して手に取ってもらうことが重要です。

その点、受験生になじみのある雑誌と似たデザインであれば、敷居も低く、思わずページをめくってもらえるのではないでしょうか。内容も雑誌の雰囲気そのままに、たくさんの学生のリアルなキャンパスライフが伝わる、賑やかなレイアウト構成が良いでしょう。

と言いつつ、このファッション誌風広報誌は関東の短大がすでに実施しており、学生数が3倍になった実績があるのだとか。ただ、それは上の例のような、いわゆるモテ系の〈赤文字系〉雑誌なので、自学の学生の傾向にあわせて個性派向けの〈青文字系〉風にしたり、カジュアル系の〈モノクロ系〉風にしたりしてみると良いかもしれません。専門学校なら、その業界の専門誌(コンピュータ雑誌や音楽誌など)を真似るのも面白いです。

AR(拡張現実)を活用したDM(高校DMの例)

AR(拡張現実)を活用したDM(高校DMの例)

DMからWebへの誘導は、おもに情報の補完という目的で活用されていますが、さらに一歩進めて、読み手により〈リアル〉な情報を提供することもできます。

そのひとつが、こちらのAR(拡張現実)を活用したDMです。ARと聞くと最先端で難解なイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。DMにQRコードを掲載し、そこからアプリをダウンロードしてもらうだけ。いまでは保育園の園児募集から高校の生徒募集のツールまで、幅広く使われています。

魅力はなんといっても動画で情報を伝えられること。上の例のような授業シーンのほか、校内の設備や、先生や在校生からのメッセージを届けている学校もあります。ユニークな試みをする学校として、他校と差別化できるという効果もあります。

もちろん学生や保護者にとっても、動画はメリット十分です。Youtuberの人気の高さからもわかるように、いまや若年層にもっとも身近なメディアと言ってもいいくらいですし、文章と写真だけではわかりづらい学校の雰囲気や先生の人柄を知ることもできます。

型抜き加工を活用した合格祈願ダルマ型DM(大学DMの例)

型抜き加工を活用した合格祈願ダルマ型DM(大学DMの例)

以前、ある短大がクマの形をしたオープンキャンパス案内DMを送って話題になったのをご存じでしょうか? それを聞いて私、思ったんです。「なぜダルマじゃないんだろう?」「受験生にとっては、絶対にクマよりもダルマのほうがうれしいはずだ」、と。

もちろんパッと見の可愛らしさは負けるかもしれません。けれども、販促ツールで重要な保存率という点ではどうでしょう。おそらくダルマに軍配が上がるのではないでしょうか。

「合格」や「必勝」という文字が入っていれば、お守りとして机に飾ってくれるかもしれません。鞄に入れて持ち歩いてくれる可能性だってあります。そうなれば、口コミ効果も期待できます。なにより、学校側の〈学生を大事に想う姿勢〉が伝わると思うのです……。

とまあ、ムキになってまでダルマにこだわるつもりはありません。一番伝えたいのは、型抜きDMを実施する場合は、読んだ後も日常生活で使えるものにしておくと効果的ということです。そういう意味で、下のような〈うちわ型〉のDMも良いでしょう。

型抜き加工を活用したうちわ型DMの例

おわりに

以上、学校DMの制作ポイントを紹介してきました。

繰り返しになりますが、大切なのは次の2点。ターゲット視点と、そのターゲットに良い未来をイメージしてもらえるクリエイティブです。その上でインパクトや注目度を高めることができれば、さらに効果的です。

物販のDMとは違い、学校DMは人の人生を大きく変えてしまうかもしれないツール。あなたの考えたDMが、一人でも多くの学生さんに「この学校に入学して良かった」と思ってもらえるきっかけとなることを願っています。

タグ : デザイン
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教えて!DM先生 編集部

ディーエムソリューションズ㈱のダイレクトメール・物流のエキスパートメンバーで結成。法人取引14,400社以上の実績にもとづいた、DMの反響アップ、コスト削減、業務改善などに役立つ情報を続々発信していきます。