ダイレクトメールのABテストを成功させる7つのポイント
2024.06.10 2018.05.01事例・効果測定反響の良いDMを作る一番の近道が、ABテスト(スプリット・ラン・テスト)を実施することです。とはいえ、正しい方法や考え方を知っておかないと、どれだけ続けても成果が上がらず、失敗に終わってしまうこともあります。そこで今回は、ABテストを成功させるために最低限知っておきたい、7つのコツを紹介します。
目次
ABテストの目的
ABテストとは、複数(おもに2種類)のデザインやコピー内容をテストしながら、獲得効率の高いDMを追求していくこと。つまり目的は、「勝ちパターン」のDMを見出すことです。
DM効果向上のノウハウはさまざまな書籍・サイトで紹介されていますが、それらがすべて自社のDMにも効果的だとはかぎりません。DMの良し悪しを決めるのは、あくまで見込み客やお客様。実際にその反応を確かめながらおこなうABテストこそ、DMを成功させる上で最も重要な施策といえます。
ABテストの方法
ABテストを行う際には下記のフローを繰り返します。
- 仮説立案
- 複数パターンのDMを同時に発送
- 効果検証
- 仮説立案
- 結果の良かったDMを残し、それと一部内容の異なるDMを同時に発送
- 効果検証
DMの効果検証の指標や考え方についてはこちらの記事をご覧ください。
ABテストの種類
一般的なABテストでは、デザインやコピーなどクリエイティブに関するテストを行います。他にも、商品の価格や売り方といった、マーケティング戦略全体も視野に入れたテストが行われることもあります。
おもなABテストの種類は次の通りです。
コピーテスト
DM本体のキャッチコピー(訴求ポイント)、封筒のコピーなどの効果を測定
デザイン/レイアウトテスト
メインビジュアル、コンテンツ構成、色、封筒デザインなどの効果を測定
オファー(特典)テスト
プレゼント、割引などの効果を測定
価格/売り方テスト
商品価格、サンプル商品推し、本商品推し、リピート購入推しの効果を測定
その他
形状テスト、封書DMの同封物テスト、申し込み方法や代金請求方法のテストなど
ABテストを成功させる7つのポイント
冒頭でもお伝えした通り、ABテストは正しく実施すれば着実に成果があらわれる一方、間違った方法で進めてしまうと、検証ができず「勝ちパターン」を見極められないこともあります。ぜひここで紹介する7つのポイントを参考にして、価値あるABテストを実施してください。
スケジュールを立てる
事前の計画なしにABテストの成功はありません。DMは一度実施するだけでも、制作・印刷・発送準備作業・配送と多くの工程が必要です。テストとなると、そこに仮説立案、効果検証、テスト(改善)案立案のための期間が加わります。
「バタバタして充分な検証ができないまま進めてしまった」「テスト案を考えるのに時間がかかり、予定のテスト回数より少なくなってしまった」という事態はよくあります。そうならないためにも、ある程度余裕のあるスケジュール設定を心がけてください。
条件・環境をそろえる
ABテストの結果を正しく測定するためには、効果比較するDMを限りなく同条件・同環境で発送する必要があります。平日と休日でも消費者の購買意欲は異なりますし、サンプル数が違えばテストとして意味をなしません。次の3つの条件は必ずそろえて実施してください。
-
- 発送タイミング
- 発送数(サンプル数)
- 発送リスト
例)同じ顧客カテゴリー(購入/来店回数・期間など)に発送
有効なサンプル数(母数)で実施する
発送数をそろえるといっても、あまりにも少部数だと正しい効果検証ができません。レスポンス1件あたりの影響が大きく、誤差が生じてしまうからです。
有効なサンプル数の目安は、日本ダイレクトメール協会の資料によると5,000件以上※1とされています。
※1参照データ 一般社団法人日本ダイレクトメール協会『新DMの教科書』2017
要素はひとつずつテストする
ABテストではさまざまな要素の効果検証が可能ですが、1回のテストではひとつの要素のみテストします。一度に複数の要素をテストしてしまうと、たとえレスポンスが向上しても、どの要素が貢献したか検証できず、その後の改善に役立たないからです。
テストする要素は違いをハッキリさせる
とくに初期のABテストでは、テストする要素の違いをDMごとにハッキリさせることが重要です。微妙なニュアンスだけ変えても反応はほとんど変わりません。キャッチコピーのテストなら細かい表現ではなく訴求自体を変える、メインビジュアルの写真のテストなら人物の性別を変えるなど、ひと目見て違いがわかるようにしてください。
キャッチコピー(訴求)テスト例:野菜ジュース通販DM
味を訴求したキャッチコピー(A案) | こんなにおいしい野菜ジュースははじめて! |
健康を訴求したキャッチコピー(B案) | 毎日の野菜不足にこれ1本! |
オファーテスト例:化粧品通販DM
プレゼントオファー(A案) | 2個ご購入の方にさらにもう1個プレゼント! |
割引オファー(B案) | 2個ご購入で今なら〇〇%OFF! |
仮説を立てて改善する
着実にテストを進めるためには、仮説を立てて改善していくことが必要です。そして仮説の質は、テスト結果からいかに多くの情報をフィードバックできるかにかかっています。
たとえば上の野菜ジュースDMのキャッチコピーテストで、健康訴求のコピーの方が良い結果だったとします。そのとき「じゃあ、キャッチコピーはこれにしよう」とだけ結論づけてしまっては、それ以上の改善効果は期待できません。
そこでレスポンスを詳細に検証してみると、購入者の半数以上が60代以上の方だったとします。そうすると「ターゲットを60代以上に絞るとレスポンスは向上する」という仮説を立てることができます。ここではじめて、「次はコピーに『60代からの』という言葉を加えよう」とか、「体験談のお客様を60代に近い方に変えよう」といった、テスト案(改善案)が生まれてくるのです。
他メディアの成功要素を転用する
まったくゼロの状態からABテストをはじめるとなると、ある程度の期間を覚悟しなければいけません。そこで、もし同じ商品・サービスをECサイトやLPでも販売しているのであれば、成果が出ているキャッチコピー(訴求)やビジュアルを、DMに転用してスタートするのもオススメです。無駄なテストを減らすことができるからです。もちろんWebだけでなく、チラシや新聞、フリーペーパーなどの広告の要素も同様に活用できます。
ただし、商材によってはWebと紙媒体ではアプローチする層が極端に異なる場合もありますし、テストするDMがフォローDMの場合、広告の新規向けキャッチコピーでは通用しない可能性もあります。そのあたりも考慮した上で実施してください。
おわりに
上手く運用すると、小さなコストではじめて大きな成果を得られるのがABテストの魅力です。ぜひ今回の記事を参考にして、あなたの商品・サービスの「勝ちパターン」DMを作ってください!
教えて!DM先生 編集部
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